山田順(ジャーナリスト)

 「バカかお前」「この野郎」「ちーがーうーだろ!」「このハゲー!」「死ねば? 生きてる価値ないだろ」

 さすがにこれでは、議員失格以前に「人間失格」だ。このほど発覚した衆議院議員2回生の豊田真由子氏(埼玉4区、42歳)の秘書への暴言・暴行は、あまりに度が過ぎている。「ピンクモンスター」とか「凶暴伝説」などと言われていたのだから、『週刊新潮』が報じるまで、なぜ家族や周囲が放っておいたのか本当に不思議だ。

 ただし、この不祥事を「魔の2回生」問題とするメディアが多いが、それは違うのではないかと思う。民進党の蓮舫代表は、さっそく「また自民党の『魔の2回生』と思いましたね」と言ったが、2回生のなかにはいい議員も多いのだから、ひとくくりにして批判するのはおかしい。

 なにより、豊田議員は「境界性パーソナリティー障害」という見方もあるので、きわめて個人的な問題ではなかろうか。女性なのに、ここまで口汚い言葉を使えるのは生い立ちの問題もあるだろうし、さらに夫や子供など家族に対して大きなストレスを抱えていたのではないかと思われる。また、エリート路線を歩んだ女性特有の「さらに高い評価」のみを求める生き方が、自分以外の他人を「人間以下」としか思えなくしてしまったのではないかと思う。
ピンク色のカーテンが閉じられた豊田真由子衆院議員の事務所=6月22日、埼玉県新座市
ピンク色のカーテンが閉じられた豊田真由子衆院議員の事務所=6月22日、埼玉県新座市
 いずれにしても、これは豊田議員の個人的な問題。そう捉えなければいけないだろう。ただし、それでもなお「魔の2回生」について言及したいなら、検証が必要だ。

 「魔の2回生」というのは、「安倍チルドレン」とも呼ばれている。これは、彼らが2014年12月の衆院選で、自民党への追い風だけで苦もなく当選してきたことに対するヤッカミである。

 なぜなら、チルドレンは、英語の発音通り表記なら「チュードレン」だからだ。チルドレンはチュードレンより劣る子供以下の存在と、命名メディアは揶揄(やゆ)したわけだ。「小泉チルドレン」にしても、「小沢ガールズ」にしても、これは同じだ。

 では、「魔の2回生」(=安倍チルドレン)はそれほど、チルドレンが多いのだろうか。現在、自民党の2回生議員は106人である。彼らのほとんどが、12年12月の民主党“ドジョウ首相”の自爆解散総選挙により初当選し、前回の選挙でも順当に再選されている。だから、単なる風だけの当選で、本来、議員たるべきではない人間まで含まれているというのだ。