小笠原誠治(経済コラムニスト)

 「このハゲー、違うだろう!違うだろう!違うだろう!」。豊田真由子衆院議員の元秘書に対する暴言、暴行問題は、こんなにひどいというか、面白いというか、視聴率の取れそうなネタに接するのは元兵庫県議、野々村竜太郎氏の号泣会見以来だろうか。

 豊田氏らは、魔の2回生などと言われる。自民党の当選2回の議員たちの不祥事が後を絶たないからだ。武藤貴也氏(金銭トラブル)、宮崎謙介氏(不倫)、務台俊介氏(長靴業界発言)、中川俊直氏(二重婚疑惑)らも記憶に新しい。
2016年9月、台風10号の豪雨被害に遭った岩手県岩泉町を訪れた務台俊介内閣府政務官(当時)
2016年9月、台風10号の豪雨被害に遭った岩手県岩泉町を訪れた務台俊介内閣府政務官(当時)
 この人たち、最初に当選したのは2012年の総選挙だ。民主党(当時)から政権を奪回したあの選挙。民主党の人気が落ちるだけ落ちていた時で、政権を失うのも当たり前と言えば当たり前なのだが、それ以来、安倍一強体制が続いているわけだからどうしても驕(おご)りが生じてしまうのだろう。

 また、この2回生議員たちは安倍チルドレンとも呼ばれる。安倍政権の下で初当選した議員をそのように呼ぶが、チルドレンと言えば、小泉チルドレンや小沢チルドレンと呼ばれた議員たちもいた。

 ただ、チルドレンと言えば、どうしても質の劣る議員たちばかりを思い出してしまうが、なぜなのだろうか。チルドレンとは、そもそも子供たちを意味するが、政治の世界などでは特定の人物の影響を受けた人たちの意味もある。

 小泉純一郎総理や小沢一郎氏(幹事長、党首)、あるいは安倍総理の影響を強く受けた議員という意味があるわけだが、これらの新人議員の誕生に関して共通して言えることは、特定の政治家の思想などに強く感銘を受けて政治家を志したというよりも、むしろ特定の政治家が自分や所属する党の勢力を拡大するために大量に新人を立候補させる必要があったということである。

 要は粗製乱造。その典型例は杉村太蔵元議員。最近の杉村氏は社会的な常識が身に付いたように見受けられるが、当選直後には「早く料亭に行ってみたい」だとか、あまりにも軽い発言を連発して顰蹙(ひんしゅく)をかったものだ。新人議員を多数誕生させる必要があるときには、じっくりと人物を見極める暇などなく、粗製乱造がどうしても避けられないのであろう。

 事実、麻生太郎副総理は、先日、次のようなことを言っていた。「(自民党の衆院当選2回生は)全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるのです」。とはいえ、自民党としては公募の手続きをとり、ちゃんと審査をして決めたわけで、少しは責任を感じてもらわなければいけない。ただ、そうは言っても、時間も限られているし、数をそろえることが優先されるので致し方ない面もあるのだろう。

 つまり、学歴や職歴、そして、話しぶりやルックスがまあまあであれば決定するか、と。まして、豊田氏については学歴や職歴が抜群であり、実際の人柄について詮索するまでもなく決定されたことが容易に想像できる。

 我々も東大卒、中央省庁採用、海外留学などという経歴をみると、それだけですごいなと思ってしまうわけなのだから。それに、選挙では当選することが一番大事なことで、後々明らかになる人柄の問題はどうしても軽視されがちになると言っていい。

 そして安倍チルドレンの質が劣る理由は他にも考えられる。繰り返しになるが、チルドレンとは特定の人の影響を受けた人たちを意味する。そして安倍総理は、森友学園事件や加計学園疑惑が判明する以前から約束を破るというか、自分の言った言葉に対する信頼度が低い政治家と少なくても一部では見られている。だから、そうした総理の影響を受けた新人議員たちがどのような立ち居振る舞いをしがちになるのかは容易に想像がつくであろう。