川上和久(国際医療福祉大学教授)

 小池百合子という政治家はどこまで運がいいのか。

 首都決戦となった東京都議会選挙は、自民党と小池知事率いる「都民ファーストの会」が都議会第1党をめぐり激しい戦いを繰り広げたが、結果は都民ファーストの会の圧勝だった。

 自民党は、豊田真由子衆院議員の暴言・暴行問題や稲田朋美防衛相の失言、下村博文都連会長の政治資金問題などが立て続けに週刊誌などで報道され、事実上「オウンゴール」の連続で、自民党への批判票が奔流のごとく都民ファーストに流れ込んだ。
有権者へ向け、東京都議選候補者への最後のお願いを行う都民ファースト・小池百合子代表=7月1日、東京都豊島区(春名中撮影)
有権者へ向け、東京都議選候補者への最後のお願いを行う都民ファースト・小池百合子代表=7月1日、東京都豊島区(春名中撮影)
 昨年7月から約1年間の小池知事の動きをみていると、あたかも浮き沈みを繰り返しながら、メディアにニュースを提供し、相手のミスを巧みに利用しながら勝ち残りをかけていく米大統領選を彷彿(ほうふつ)とさせる「メディア・ポリティクス」のお手本のような動きを見せている。

 2016年7月に実施された都知事選で小池知事は約291万票を獲得した。「都議会はブラックボックス」と都議会のドン、内田茂都議(当時)を悪者に仕立て上げ、メディア受けする「戦いの構図」を作り上げた。

 築地市場を豊洲市場に移転することが11月7日と決められていたにもかかわらず、選挙公約に従って移転を延期し、盛り土がなされていなかった問題を掘り出し、「地下空間」にメディアの注目を集めさせ、地下水の汚染問題などを喧伝(けんでん)して移転延期の正当化に成功。東京五輪・パラリンピックの会場問題でも、経費節減をうたってボート会場の変更、バレーボール会場の変更などを打ち出し、他の自治体も巻き込んで、騒動を巻き起こした。

 小池知事が繰り出す「アピール」にメディアも飛びつき、毎週金曜日の知事定例会見となれば、民放各局が生中継し、それが視聴率にも結び付くというWIN-WIN効果で、小池知事はすっかり「メディアの寵児(ちょうじ)」となった。

 2017年2月5日に投開票された千代田区長選挙では、現職の石川雅己区長を支援し、石川氏は都議会自民党と自民党東京都連が擁立した与謝野馨元衆議院議員のおい、信氏をトリプルスコアで破り、当選した。

 この時点では、都議会自民党も「小池知事の勢い」に相当な危機感を抱いていた。この勢いが続けば、多くの自民党都議会議員がはじき出されてしまう。そんな中、小池知事にも「アキレス腱(けん)」はあった。

 第一のアキレス腱は、自分自身が選挙公約として打ち出した「豊洲市場への移転の延期問題」だ。盛り土がなされていなかった問題を掘り出したまでは良かったが、地下水の汚染などについては、専門家に「安全に影響はない」と言われ、逆に築地市場の汚染問題なども報道され、石原慎太郎元知事から「安心と安全をごちゃまぜにしている」と批判された。