安倍政権を一気にぐらつかせたのは、安倍チルドレンとして当選2回、豊田真由子代議士の「暴言」報道、そして安倍氏が後継候補の一人と重用してきた稲田朋美防衛相の「失言」だった。だが、今回大量当選した「小池チルドレン」にもすでに兆候はあった。

 投開票3日前の6月29日、自民党都連の「司令塔」である下村博文会長に、加計側からの違法献金疑惑という特大の「文春砲」が放たれた。自民党へのトドメの一撃だった。

 即座に開いた記者会見で全面否定し「反撃」に出た下村氏は、昨年8月に下村事務所を退職した元秘書、平慶翔氏からの情報流出の可能性に触れた。平氏は、おひざ元の板橋区で敵対する都民ファーストの会から当選を果たした人物である。

 「流出源」の可能性に挙げる根拠として下村氏は、事務所在職中、紛失騒ぎがあった職場のパソコンを持ち出したほか、約30万円と少ないとはいえ事務所費用を詐取した人物であったこと。その事実を認める内容の「上申書」に署名して退職に至ったことを挙げた。

 これに対して平氏は同日深夜のニコファーレでの演説会で、デジタルデータの流出をさせた事実を否定した上で、署名も「私の字ではない」と述べた。都民ファーストの会代表として候補の過去を問われた小池氏は30日の定例会見で「知りませんよ」とはぐらかしたが、有権者に対してそれで政治家の説明責任が果たされたか。

「都民ファーストの会」平慶翔候補(右)と姉で女優の平愛梨=6月4日、東京都板橋区(大西正純撮影)
「都民ファーストの会」平慶翔候補(右)と姉で女優の平愛梨
=6月4日、東京都板橋区(大西正純撮影)
 昨年8月の平氏の退職直後、板橋区内のすし店で送別会が開かれている。筆者は出席した下村後援会幹部を取材したが、退職の理由について「兵庫の実家の父親の仕事を手伝いに帰る」との本人の説明をきいた人物が複数人いる。また「皆にはそう話したが、実は東京の大手デベロッパーに就職する予定です」と述べるのを聞いた者もいた。平氏にインタビューでこの点を聞くと「私がそう話したことはない」と答え、退職の理由については小池氏に感化されたことが退職の直接の引き金になったと述べた。
      
 これまでは過去の知事や都議を糾弾することで人気を得てきた小池氏。現職知事として問われ始めているように、党代表としても、自らの言動と組織を率いる責任を問われる局面に入った。都民ファーストの「選良たち」も今後、小池知事の「ご意向」と都民の目線の間で自らの独立した政治判断が問われる。

 権力は知事にもドンにも集中させるべきではない。相互に知事と議会チェックしあう緊張関係こそが、われわれ有権者にとって最もメリットを生み出す構造なのだから。