田中秀臣(上武大ビジネス情報学部教授)

 東京都議選は都民ファーストの会の圧勝と、自民党の歴史的大敗北に終わった。公明党、共産党は選挙前の議席数から増やし、民進党も選挙前の議席が少ないとはいえ健闘した。自民党への逆風が猛烈だったぶん、批判の受け皿として都民ファーストが大きく勝った。
候補者の名前が並ぶボードを背に開票を待つ自民党の下村博文都連会長=7月2日、東京・永田町の党本部
候補者の名前が並ぶボードを背に開票を待つ自民党の下村博文都連会長=7月2日、東京・永田町の党本部
 政治的には、都民ファーストの大勝よりも、自民党の惨敗の方が重要だと思う。国政への影響が避けられないからだ。いくつかその影響を考えることができる。あくまで予測の域をでないのだが、いまの政治状況を前提にすれば、年内の衆議院解散は無理だろう。2018年12月の任期満了に近くなるかもしれない。もっとも、1980年代から現在まで3年を超えての解散が多いので、それほど不思議ではない。ひょっとしたらこれはすでに織り込み済みかもしれない。ここまでの大敗北はさすがに自民党も予測はしていなかったろうが。

 国政に与える影響で興味の焦点は、安倍晋三政権の持続可能性についてである。あくまで都議選でしかないことが注意すべきところだが、今後いままで以上にマスコミの安倍批判が加速することは間違いない。都議選の有権者が東京都民だけにもかかわらず、それを世論と等値して、国民から不信任を食らったと煽(あお)るかもしれない。

 もちろん煽らなくても、今回の都議選大敗により、世論調査で内閣支持率がさらに低下し、自民党の支持率も急減する可能性はある。ただその場合、国政には都議選で受け皿となった都民ファーストがないし、また野党も受け皿にはなれない。つまり支持率の低下はほぼ無党派層の増加に吸収される可能性が大きい。この現象がみられるとすれば、都議選の大敗北は、安倍政権への世論の逆風が全国的に吹いたままだということを意味するだろう。

 この潜在的な逆風が、安倍政権をレームダック(死に体)化するだろうか。ここでのレームダック化は、安倍首相が現状のアベノミクスなど基本政策を実施することが難しくなる状況、あるいは転換を迫られる状況としたい。当面はその可能性は低いと思われる。