12月10日、特定秘密保護法が施行された。毎日新聞と東京新聞はそれなりに危機感をもってこの法律について報じている印象があるが、他は軒並み型どおりの報道しかしていない。

東スポが報じた政府の不穏な動き


 そんな中で、1年前のことになるが、2013年10月12日付けの東京スポーツの記事は興味深かった。女優の藤原紀香さんがブログに書いたパブリックコメント参加の呼びかけを「政府関係者」が異常に気にして、藤原さんの身辺を「調査」したというのである。

 パブリックコメントとは、政府が法案や政策を実施する前に国民に広く意見や情報を求めることである。

 藤原さんのブログには「国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう……なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です」「日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな(T_T)」などと書かれており、注目された。

 この藤原さんの呼びかけもあって10万件近い意見が寄せられたというが、原則30日以上と定められているパブリックコメントの応募期間は秘密保護法に関しては15日しかなかった(この辺も政府のせこさが垣間見えるが)にも関わらず、である。

 これに慌てたのが「政府関係者」である。東スポの記事によると、「この法案にはいろんな団体が反対しています。なかには公安の監視対象になっている団体もある。なので『念のためではありますが、藤原さんがそういった団体の影響で書いているのかどうかを調べました』と公安が言うんです。結論はシロ。純粋に心配だからそう書いたといいます」と明かしている。

 この記事から読み取れるものは、何であろうか。

「東スポはいつもツチノコやUFOなどを報道して喜んでいるから、信頼できない」という声もあるかもしれない。

 しかし、法施行の前からこのような動きがあったことは想像に難くない。重要なのは、独り歩きを始めてしまう法律をメディアが監視し、報じることである。

 ただし、残念ながら、もはや大手紙はこうした動きはできなくなってしまっている。暴露合戦や足の引っ張り合いではなく、いい意味で競争することでお互いに切磋琢磨することはもはやありえない。

 だが、東スポやネットメディアであれば、しがらみもそれほどではなく、おかしいと思ったことは「おかしい」と報道でできるはずだ。それが本来のメディアのあり方であると思う。

 読者が求めているのは、大本営的な大手メディアの報道ではなく、こうした記事である。(DMMニュースより)