結局、4月15日にも4月25日にも、何も起きなかった。4月の軍事挑発は私が予測したとおりイースター(復活祭)の朝、5月も予測どおり米メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)となった。同様のことは2013年にも、2009年にも、2006年にも起きた。一貫してそう主張してきたが、日本の政府とマスコミには馬耳東風。関係国の当局者だけが耳を貸した(詳しくは前掲拙著)。

 みな口をそろえて「ICBM発射はアメリカにとってレッドライン(越えてはならない一線)」と断言してきた。主要メディアとも7月5日までそう断定してきた。NHKも例外でない。今回、北朝鮮はその「レッドライン」を越えた。

 当然アメリカが軍事行動を起こすはずだが、発射から数日経った今も、その兆候は見えない。「レッドラインは(ICBMが届く)アラスカではなく東海岸」との釈明まで出始めたが、開いた口が塞がらない。

 要は「Xデー」同様、「レッドライン」をめぐる報道もフェイク(偽物)だった。北朝鮮関連報道自体フェイクだったと評してもよかろう。それなのに、テレビ画面に映る「識者」らの顔は、いつまで経っても変わらない。代わり映えしない。出す方も、出る方もどうかしている。ここまで予測と分析を間違えておきながら、恥じることを知らない。破廉恥きわまる。
朝鮮中央テレビが放映した、ICBM「火星14」発射実験の写真(共同)
朝鮮中央テレビが放映した、ICBM「火星14」発射実験の写真(共同)
 今回「また潮が危機を煽った」云々の批判を受けた。事実関係のみ反論しておく。やれXデーだ、レッドラインだと危機を煽ってきたのは、連日ワイドショーなどでコメントしてきた著名な「識者」やジャーナリストのみなさまである。私ではない。私は事実と今後の予測を述べただけ。

 もし、それが「危機を煽った」ように聞こえたなら、失礼ながら事実を直視できないからか、あるいは私の予測を受け入れ難い〝良心〟(感情)があるからなのか。どちらにしても私の責任ではない。

 ICBM発射当日、私の長女(自衛隊員)は航空自衛隊の主力戦闘機F-15DJに搭乗飛行していた。もし今後、拙著の予測どおり展開するなら、そのとき、隊員は「危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえ」なければならない(自衛隊法)。

 最近まで危機を煽ってきたのは、そうしたリスクを背負う気概すらない無責任な連中である。どいつもこいつも放言しているだけではないか。彼らの眼には、自分が見たいものしか映らない。私は見たくもない現実を直視している。彼らと私では、そこが決定的に違う。

 北朝鮮の脅威は核や弾道ミサイルだけではない。いま最も警戒すべきはテロ・ゲリラ攻撃である。本来なら軍隊たるべき自衛隊が対処すべきだが、残念ながら、戦後日本では警察(または海上保安庁)が対処の任を担う。

 案外知られていないが、交番の警官が着用しているのは防弾チョッキではない。防刃ベストである。そのとき、私の次男(警察官)が凶弾に倒れるかもしれない。その私が今回、危機を煽ったなど、聞き捨てならない。

 拙著の予測は外れてほしい。もうこれ以上、当たってほしくない。ひとりの父親としては、心からそう願っている。きっと誰よりも、その思いは強い。