米政府は6月29日、北朝鮮の核、ミサイル開発を支援した中国企業「Dalian Global Unity Shipping Co」と2人の中国人および、北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した中国の銀行1行、丹東銀行(Bank of Dandong)に対して米国との取引停止、ドル取引停止という制裁をかけた。丹東銀行は北朝鮮が米金融システムにアクセスするための入り口の役割を果たしてきたと米財務省は指摘している。同行顧客のドル口座は取引の17%が北朝鮮に関連したものだったという。ムニューシン財務長官は調査を続けており、追加制裁を行う可能性もあるとした。

 私は5月に米国軍に近い情報関係者から、中国と北朝鮮の関係について次の話を聞いていた。

 「これまで25年間の中朝関係はやらせ詐欺であり、①北朝鮮が軍事挑発を行う②中国も加わって国際制裁が決議される③中国がわれわれも対北制裁していると明言する④北朝鮮が中国を批判⑤中国が国際社会に対北制裁をよくやっているとアピールする、という循環が繰り返された。しかし、水面下での中朝取引は続き、事実上、中国は北朝鮮の核ミサイル開発を助けてきた。われわれは、もはやそれにはだまされない。数年前から北朝鮮と取引をしている中国企業を徹底的に調査してきた。その調査結果の一部が、C4ADSという米国のシンクタンクが昨年8月に公表した報告書(※注1)に載っている。アルミニウムパイプを風呂桶として対北輸出している企業などがある。まず、ここまで分かっているということを教えるために代表的な10社を選んでリストを作った。その10社のリストをあなたにもあげますよ」

 6月21日にワシントンDCで開かれた米中安保対話では、そのことが議題になったという。米紙「ウォールストリート・ジャーナル」によると、米政府は中国に2次制裁候補として調査が終わっている代表的な10社のリストを渡したという。

中国銀行、ニューヨーク支店の外観=2011年10月
中国銀行、ニューヨーク支店の外観=2011年10月
 私が5月に上記関係者からもらった10社のリストと、安保対話で中国に渡されたリストが同じものかどうか確認できていない。

 すでに、ウォールストリート・ジャーナルは4月25日付の社説で中国4大商業銀行の一つ、中国銀行(Bank of China)への二次制裁をかけよと主張した。「国連の専門家パネルによれば、昨年、中国銀行のシンガポール支店が北朝鮮の事業体の決済に605回関与している。中国政府はこの国連リポートの発表を阻止したが、内容はメディアにリークされた」「(中国銀行への二次制裁は)トランプ氏の真剣さに関する最小限のテスト」だと書いている。

 中国銀行は、資産規模2・5兆ドルで世界4位だ。米シティバンクの2倍、三菱東京UFJ銀行の1・5倍の超巨大銀行であり、昔の東京銀行のように国際金融市場で中国を代表する銀行だ。その銀行が、ドル取引ができなくなることは国際金融秩序と米中経済関係に多大な影響を与えるだろう。しかし、軍事行動に比べれば少なくとも人命被害は出ない。これすらできなければトランプも結局、戦略的忍耐と同じことをしていると批判されるだろう。


(※注1)報告書名は「In China’s Shadow Exposing North Korean Overseas Networks」。