2017年07月11日 13:00 公開

ドナルド・トランプ米大統領の長男が昨年の大統領選中、ヒラリー・クリントン氏に不利な情報の提供を約束され、ロシア政府と関係するとされるロシア人弁護士と面会していた問題について、10日付のニューヨーク・タイムズ紙は、面会を仲介した人物が、これは大統領選でトランプ氏を応援するロシア政府の取り組みの一環だと、長男に書き送っていたと伝えた。さらにこの後、長男本人がこのメールの内容をツイートした。

トランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏は昨年6月9日、ニューヨークのトランプ・タワーでロシア人のナタリア・ベセルニツカヤ弁護士と面会した。大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏(現・大統領上級顧問)と、当時のトランプ陣営選対本部長ポール・マナフォート氏も同席したという。トランプ氏が共和党候補指名を確実にした、2週間後のことだった。

9日付の米紙ニューヨーク・タイムズ報道を機に明らかになったこの会談について、トランプ・ジュニア氏は報道を受けて、その事実を認めたものの、選挙とは無関係の内容だったと説明した。しかし、ヒラリー・クリントン氏に不利な情報を提供するという申し出だったと同紙が報道すると、具体的な内容はなかったと説明を修正。10日には、政敵に関する情報収集は普通のことだと反論した。また、この会談に関する自分のこれまでの発言は矛盾していないと強調した。

同紙によるとトランプ・ジュニア氏は同紙の取材に対して今年3月、選挙について話し合うためロシア人と会ったことは一度もないと話していた。

ベセルニツカヤ弁護士との面会についてドトランプ・ジュニア氏は、「選挙運動に役立つ情報を持つかもしれない人物」に会うよう知人に言われたと説明した。米紙ワシントン・ポストによると、この知人とはロシアの音楽業界とつながりのある音楽広報業者ロブ・ゴールドストーン氏。

10日付のニューヨーク・タイムズ紙によると、このゴールドストーン氏はトランプ・ジュニア氏にメールで、ロシア政府が父トランプ氏を大統領選で支援している、面会を求めている人物の情報もロシア政府のそうした取り組みの一環だ――と書き送っていた。ゴールドストーン氏はそうしたメールの内容について、同紙に否定している。

しかし11日、トランプ・ジュニア氏自身がゴールドストーン氏との一連のメールのやりとりをツイートした。その中でゴールドストーン氏は、面会を希望する人物が「君のお父さんにとても役に立つ」「ヒラリーの罪になる内容」を持っており、それは「ロシアとその政府がトランプ氏を応援する一環」のことだと書いている。これに対してトランプ・ジュニア氏は「I love it(最高だ)」と答えている。

ゴールドストーン氏のメールに関するこの報道に先駆けて、トランプ・ジュニア氏は10日、「選挙戦中に対立候補の情報を聞くため人と会ったのは、もちろん僕が初めてなんだろう」と皮肉な調子でツイートした。さらに、「自分の発言に矛盾はない(中略)質問に答えてさらに詳細を提供しただけだ」とツイートを重ねた。その上で、トランプ・ジュニア氏は、保守系のタブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」の「ドナルド・トランプ・ジュニアに関するタイムズの暴露記事はすごくつまらない」という記事のリンクを貼った

上院情報委員会の共和党委員が、委員会として大統領の長男から聞き取り調査をすべきだと主張したのを受けて、トランプ・ジュニア氏はさらに「委員会と喜んで協力し、知っていることは教える」とツイートした

ホワイトハウスは、トランプ・ジュニア氏がベセルニツカヤ弁護士と会ったことに何の問題もないと表明している。ラインス・プリーバス首席補佐官は、問題の会議は「ビッグ・ナッシング・バーガー(何も入っていない大きなハンバーガー)」だと一蹴した。

トランプ・ジュニア氏「ロシア人養子縁組事業についてだった」

トランプ・ジュニア氏は9日の報道を受けて、「会談前にはその人の名前を知らされていなかった。ジャレッド(クシュナー)とポール(マナフォート)に同席するよう頼んだが、内容については離さなかった」、「挨拶を交わしたあと、その女性は、ロシアとつながる個人が民主党全国委員会に資金提供し、クリントン氏を支持しているという情報を持っていると言った。けれどもその発言はあいまいで不確かで、意味が通らなかった。詳細や裏付けの提供もなく、提供しようかという申し出もなかった。この人は有意義な情報を持っていないのが、すぐに明らかになった」とコメントしている。

トランプ・ジュニア氏によると、ベセルニツカヤ弁護士は次に、ロシア人養子縁組事業について話を始めたという。

「要するに最初からこれが本題で、大統領選に役に立つかもしれない情報というのは、会談の口実だったのだと分かった」

ロシア人子供の養子縁組事業については、2012年に米議会がロシアの人権侵害を理由にロシア政府関係者の資産凍結とビザ発行中止を含む制裁法案「マニツキー法」を可決したのを受けて、ウラジーミル・プーチン露大統領が事業を中止した。

マニツキー法に反対する運動の中心にいたベセルニツカヤ弁護士は、「大統領選についてはまったく何も話し合っていない」、「私はロシア政府の代理をしたこともないし、ロシア政府の代表とこうした事柄について話し合ったことは一度もない」とコメントした。

ベセルニツカヤ弁護士は、ロシア政府に近いとされる企業や個人を顧客に持つ。

一方で、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ベセルニツカヤ弁護士についてロシア政府は何も知らないと強調した。

「国内外ですべてのロシア人弁護士が誰と面会しているか、我々が全部注視することなどできない」

(英語記事 Trump son defends meeting Russian 'with Clinton material'