志波和幸(国際通貨研究所 主任研究員) 

 仮想通貨の利用者保護と取引業者の監視強化を目的とした「改正資金決済法(いわゆる「仮想通貨法」)」が4月1日に施行され、ビックカメラなどの小売店でビットコインでの決済が可能になったという報道を受け、3月末に1ビットコイン当たり約13万円で取引されていた相場が5月下旬には34万円台に急騰した。
仮想通貨「ビットコイン」の支払いで使用されるスマートフォンの画面=4月7日、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店
仮想通貨「ビットコイン」の支払いで使用されるスマートフォンの画面=4月7日、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店(川口良介撮影)
 しかし、6月中旬以降、ビットコインの相場に急ブレーキがかかっている。7月16日には一時20万円まで下落した。回復したとはいえ、現在その価格は25万円前後と5月下旬のピーク時点から約25%を下回る水準で推移している(7月19日現在)。その主な理由として「8月1日問題」が挙げられる。

 「8月1日問題」とは、ビットコイン記録方式の規格変更の是非をめぐり関係者の利害が対立し、一部のシステム利用者が8月1日から新規格の導入を一方的に宣言したことに端を発するものである。

 ここで、あらためてビットコインについて簡潔に説明したい。2009年初めに運用を開始したシステムでは、下記の作業が繰り返される。

①世界中のビットコインの取引データを、およそ10分ごとに「ブロック(データの塊)」にまとめる。

②次に、世界中に分散しているサーバーが、「ブロック」に格納した取引データに誤りがないことを確認し合う。そして、すべてのサーバーがその確認を終了した時点で、送金作業が実行される。

③最後に、その「ブロック」をその10分前に生成された「ブロック」とつなげる。つなげる作業を行うのは「マイナー」と呼ばれる業者で、最も早く「ブロック」同士をつなげたマイナー業者には一定額の報酬が与えられる。

 なお、このシステムを運用するに当たり、1つのブロックに格納することができる取引データ量の上限値は1MB(メガバイト)と定められている。少なくとも昨年までは10分ごとの取引データをブロックに格納することができていた。しかし、昨今のビットコインの認知度の高まりとともにその取引件数が急増したため、2017年4月頃から10分間の取引データ量が1MBを超過する状態が発生した。そのため、取引相手の指定した口座(「アドレス」と呼ぶ)にビットコインの送金指示をしたにもかかわらず、その取引データがブロックに収まらず、次の10分後のブロックに格納する取引データ候補に繰り延べられ、さらにそのブロックも1MBの容量上限を超過すると、次の10分後のブロックに格納する取引データ候補に繰り延べられる。その結果、相手方の指定アドレスに着金するのが遅れてしまうという事態に至った。