この問題を解決するに当たり、各ビットコイン取引業者は、過去10分間の取引データを遅延なくブロックに収めるために、ビットコインの送金者に対し高額な手数料を要求して、取引件数を意図的に減らそうと試みた。その結果、報道によると6月初旬にはその手数料が1取引当たり550円程度まで上昇したとのことである。
 その間に、イーサリアムやリップルなどの他の仮想通貨が台頭し始めたことで、ビットコインの取引件数が自然に減少した。それに伴い7月19日時点のビットコイン取引手数料は10円程度に低下している。しかし、この解決方法は一時的かつ暫定的なものに過ぎない。今後ビットコインの人気が再燃して取引件数が増加すれば、ブロックの容量を恒常的に逼迫(ひっぱく)することになり、送金手数料が上昇する可能性がある。

 この「ブロックの容量問題(「スケーラビリティ問題」とも呼ばれる)」は既に2014年頃から提起されていた。今まで、取引業者などのシステム利用者とマイナー業者などが協議し、ブロック容量の拡張などさまざまな対策が提案されたが、その運用システムのプログラム改良の同意・実行には至らなかった。

 その理由として、ビットコインの運用システムのルールの1つである「システム改良時にはマイナー業者の95%以上の賛同を得なければならないこと」が障壁となっていたといわれている。

 仮にブロックの容量を2倍に拡張したとすると、マイナー業者はマイニング作業による報酬を受け取る機会が半減するため、プログラムの改良に消極的であった。

 しかし、前述の通りブロック容量の逼迫(ひっぱく)が恒常化すると、ビットコインは既存の金融機関を介した送金作業と比べ手数料が安価であるという最大の利便性を失い、さらにそれが今後のビットコインの価値低下を招きかねないという懸念が高まった。そのため、3月に一部のシステム利用者が「マイナー業者の賛否に関わらず、8月1日からプログラムを改良する」と一方的に宣言した(この宣言は「UASF-BIP148」と呼ばれる)。

 言い換えると、8月1日からは「すべての取引データを特殊プログラムで圧縮し(「segwit」と呼ばれる)、ブロックに格納可能な取引データ量を増加させることで容量問題を根本的に解決する」と宣言したのである。