これに対し、一部マイナー業者はその対抗策として6月に「ビットコイン運用ネットワークのなかで『既存取引データを格納する旧ブロック』と『特殊プログラム(segwit)で圧縮したデータを格納した新ブロック』とを併存させる。つまり、1つのネットワークのなかに2種類の性質が異なるビットコインを流通させる」案を提唱した(この提案は「UAHF」と呼ばれる)。
 これら2案の発表後、有識者がビットコインの取引データが新旧ブロックのいずれかまたは両方に同時に記録されることにより運用システムに支障が生じるおそれがあること、そして保有しているビットコインが8月1日以降に消滅するおそれがあること、などを指摘した。これを受けて、一部のビットコイン保有者が大量に売却したことが引き金となり、6月中旬に価格が急落したのである。

 では、果たして「8月1日問題」は解決するのであろうか?上記2つの案(「UASF-BIP148」と「UAHF」)が提案された6月中旬以降のビットコインの価格は、前述の通り一時1ビットコイン当たり20万円に下落したものの、その後は25万円前後で推移している。これは、ビットコイン保有者の多数は「7月31日までには利用者とマイナー業者間でシステム改善に関し何らかの妥協点を見いだす」と楽観的な見方をしているためと思われる。

 しかしながら、8月1日まで残り2週間を切るなか、いまだ問題解決方法が明らかになっていないため、噂や思惑でビットコインの価格が急変動する場合があろう。かつ、多くのマイナー業者が「UAHF」案を支持した場合、その価格が急落するおそれがある。

 このような状況下、7月18日に本邦の日本仮想通貨事業者協会(JCBA)に加盟する仮想通貨取引業者13社は、顧客資産の保全を優先するべく、ビットコインの受け入れや引き出しの受付を8月1日から一時停止すると発表した。

 ビットコインは日本円や米ドルなどの既存の法定通貨と異なり、政府や中央銀行などの管理主体が存在しないという利便性から「仮想通貨の代表格」として支持され、取引・流通してきた。しかし、今回のように何らかのシステム的な問題が発生した場合に、合意形成が困難であるという脆弱(ぜいじゃく)さも露呈した。

 7月19日現在、仮想通貨は確認できるものだけでも約800種類存在する。大多数の仮想通貨は、ビットコインをより高度化したものや異なる運用システムの構成および運用方法が用いられている。しかし、この「8月1日問題」の解決可否は、ビットコインのみならずその他の仮想通貨が今後世の中に浸透するのか、あるいはその市場が収縮するのか、真価が問われるものとなろう。