東芝が経営危機に陥っている。決算発表を二度にわたって延期した末に、監査法人のお墨付きを得ないまま、2016年(4~12月期)決算を発表せざるを得なくなるという異常事態を迎えている。

 カネもない、事業もない、責任を取る人間もいない……市場関係者の多くが「もはや万事休す」と見放すなか、東芝という会社に残ってほしいという気持ちは、かつての東芝の栄光の時代を知る者ほど強い。

 『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家の弘兼憲史氏は、かつて松下電器(現パナソニック)に勤務していた時代に、「泥臭い関西の松下に対して、東京のハイカラなイメージの東芝に憧れを抱いていた」と明かす。

 「もし島耕作が、東芝の社長になったら」として弘兼氏はこう話す。
取締役会で社長職を辞し会長職に退くことを発表するテコットの島耕作社長(2013年7月11日発売の講談社の週刊漫画誌「モーニング」から)
取締役会で社長職を辞し会長職に退くことを発表するテコットの島耕作社長(2013年7月11日発売の講談社の週刊漫画誌「モーニング」から)
 「漫画だったら、島耕作が自ら上場廃止を宣言して、株主には『多大なご迷惑をおかけするが、必ず立て直す』と訴える。それでまた再上場を狙って頑張る──という物語にはなるでしょうね。

  島耕作シリーズの『社長』時代に考えていたのは、韓国の電機メーカー“ソムサン”に対抗するために、“ソラー”と“(島耕作の)初芝電産”を中心に日本の業界を再編して2社か3社にする構想です。

 東芝も他の会社と合併するという手があるかもしれません。そうなると、大量リストラはやらざるを得ないでしょうが、誰かが悪者になって『将来のために、痛みは自ら背負っていく』という決断も、物語の中でならできるのです」

  現実的な方法としては、弘兼氏は新たな分野への参入を挙げる。

 「社長になった島耕作は、家電のノウハウを活かして農業に進出しました。実際にパナソニックはコンピューター制御のガラスハウスをつくっている。電機メーカーのノウハウで、人工の光を使って、コンピューター制御で野菜をつくる。原子力発電から出る温水を利用して温室栽培をするというアイディアもあります。農業も原発も国策。国と一体で、立ち直るのです」

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