小林信也(作家、スポーツライター)

第99回全国高校野球選手権・東西東京大会。選手宣誓をする早実・清宮幸太郎主将=7月8日、神宮球場
全国高校野球選手権・東西東京大会。選手宣誓をする早実・清宮幸太郎主将=7月8日、神宮球場
 高校野球人気は、衰える様子がない。今年は清宮幸太郎というスター選手の存在があって、異様とも思える集客現象が一部で起こっている。

 しかし、ここで言う「高校野球人気」とは、あくまで見る側からの現象であって、実際に主役であるはずの高校生、高校教育の現場で、いまも世間が騒ぐような人気を野球が持ち続けているかは疑問だ。

 今月初め、高野連が「平成29年度加盟校部員数調査」の結果を発表した。それによると、登録者数が3年連続で減少している。高野連のホームページに次の文章が掲載されている。

本年5月末の加盟校数と部員数の集計がまとまりましたのでお知らせいたします。硬式の部は、昨年より6,062人減少し161,573人で3年連続の減少。学年別にみると、1年生(新入)部員が54,295人、2年生部員が53,919人、3年生部員が53,359人となっています。継続率は、14年連続でアップし、昨年に引き続き90%を超えました。(継続率の算出は1984年以降)

加盟校数は、昨年から25校減の3,989校。平成に入ってから初めて4,000校を割りました。

 部員の減少が続き、加盟校が4000校を割った。少子化の流れがあるにせよ、深刻に受けとめるべき事実だ。だが、継続率のアップを続けて表記し、まるで質的には向上しているかの印象を与える。

 長年16万人から17万人で推移していた高校球児(硬式野球)の数が、数年後には激減するだろうとの予測は一部で深刻に語られている。なぜなら、学童野球、中学校の野球部員数がすでに激減しているからだ。この世代が高校生になる数年後、高校野球の部員数も参加校数も極端に減ることが心配される。こうした未来予測に、高野連が対策を講じている様子はほとんど見られない。

 高校野球は、議論の柔軟性も失っている。見る側も頭が固くなり、自由な議論や提言を交わす土壌がない。

 例えば、猛暑対策。いま全国で行われている地方大会のスタンドでは、観客に向けても「熱中症にならないよう、十分に水分補給をするなど、お気をつけください」といったアナウンスを繰り返している。本当なら、大会の時期をずらすなど、もっと根本的な改革をするべきだと思うが、踏み込んだ変革の兆しはほとんどない。