サッカー界は暑さ対策を講じている。昨年3月、日本サッカー協会は暑さに対するガイドラインを発表した。

 具体的には、熱中症対策のために編み出されたWBGT(湿球黒球温度)という「暑さ指数」を基準にしている。

 「大会/試合を開催しようとする期間の各会場(都市)における、過去5年間の時間毎のWBGTの平均値を算出し、その数値によって大会/試合スケジュールを設定する。必要に応じて、試合時間を調整して早朝や夜間に試合を行う、ピッチ数を増やす、大会期間を長くするなどの対策を講じる」

 WBGTが31度(気温だとおよそ35度前後)を超えると予測される場合は「試合を中止または延期する」と規定している。これを基準にすれば、7月の10日前後から下旬にかけて高校野球の大会を実施すること自体が「不適当」という明快な結論が出る。

 沖縄大会が6月にいち早く開幕するのは、土日しか試合を行わないためだという。暑さ対策もあるだろう。この方式を全国が検討することもひとつではないか。

拓殖大学紅陵高校の処分をめぐり会見する千葉高野連の圓城寺一雄会長(中央)ら=7月11日、千葉市稲毛区
拓殖大学紅陵高校の処分をめぐり会見する千葉高野連の圓城寺一雄会長(中央)ら=7月11日、千葉市稲毛区
 世間ではいま、元球児の売春あっせん事件が露呈して「出場停止」の基準が議論され始めている。これについても、私は違和感を覚える。なぜいつも、高野連は、お上のように、こうした問題を裁く立場で居続けるのか?

 このような事件が起きた。一生徒の個人的な問題によって起こされた事件なら、そもそも連帯責任は的外れだと思う。しかし、もし高校野球の、行きすぎた、そしてゆがんだ日常がこの生徒の行動に何らかの影響を与えていたなら、それは一高校の問題ではなく、あまりに加熱し、勝利至上主義に走り、改善を話し合う土壌も空気もなくなってしまった高校野球全体の問題ではないか。

 このような出来事を前にして「処分」だけを論じるのでなく、「高校野球のあり方が間違っているのではないか」と、自分たちの姿勢を見直すくらいの意識が本当は高野連に必要だと感じる。

 私は、猛暑対策が根本的に必要と感じてから、真夏の期間はできるだけ涼しい時間に練習を行っている。今日(7月15日、土曜)も、チームの本拠である武蔵野市の昼間の気温は36度と発表された。朝6時半に練習を始め、9時半には解散した。それでも選手たちは少し顔を上気させ、汗をびっしょりかいていた。選手や親の中には、猛暑の中で練習する習慣をつけなくて高校野球に入ってから大丈夫か、と心配する向きもある。だからこそ、高校野球の責任は重い。高校野球がそうだから、中学生も小学生も炎天下の練習を「当然」と強いられ、心身を危険に晒し、何割かは野球から離れて行く。

 夏の大会が猛暑の時期を避け、もっと快適な野球がやれる季節に移れば、少年たちが虐待的な練習をする必要もなくなる。野球少年が増える可能性もある。私はここに書いたすべてが正しいと強調したいのでなく、まったく提言もない、自問自答もない高野連や高校野球の現状を変える必要を問いかけたい。