2017年07月17日 13:24 公開

政情不安と経済危機で混乱が続く南米ベネズエラの首都カラカスで16日、反政府勢力が実施する非公式の国民投票に投票しようとしていた61歳の女性看護師が撃たれ、死亡した。バイクに乗った男たちが、投票所の行列に向けて発砲した。ほかに3人が負傷した。

調べによると、死亡した看護師はシオマラ・ソレダド・スコットさん。病院に搬送されて間もなく死亡したという。検察当局が捜査に着手すると明らかにした。

反政府勢力は「非正規の民兵組織」の犯行だと非難している。現場の映像では、銃声を聞いた大勢が教会に逃げ込む様子が見える。

反政府勢力の広報担当カルロス・オカリス氏は銃撃について、「非常に遺憾に思う。とても辛い」とコメントした。

現場のカティアは、カラカスでも低所得者層の多い地区で、ウーゴ・チャベス前大統領とニコラス・マドゥロ現大統領が率いてきた左派政権にとって伝統的な支持基盤。

銃撃とは別に、記者のルイス・オラバリエタ氏が拉致され、所持品を奪われ、大勢に殴られた。オラバリエタ氏は自力で脱出。治療を受けている写真が公表された。

経済危機に揺れるベネズエラでは、治安部隊と激しく衝突する反政府デモが相次ぎ、4月以来100人以上が死亡している。

ベネズエラでは今月30日、新憲法制定のための制憲議会議員選挙が実施される。制憲議会は改憲や国家機関廃止の権限をもつことになる。反政府勢力は、制憲議会は独裁政権の確立につながると非難する。

政府に反対する政治家たちが、30日の選挙の是非を問う非公式な「国民投票」を実施。国内の劇場や競技場、ランダバウト交差点をはじめ、海外100カ国にも仮設投票所を設けた。

16日の投票はあくまでも象徴的なものだったが、反政府勢力は投票率が高ければ政府への圧力になると期待していたと、BBCのケイティー・ワトソン南米特派員は言う。

「国民投票」では、議会選のほか、マドゥロ大統領の任期が2018年に満了する前に大統領選を希望するか、さらには現行憲法を軍隊に守ってもらいたいかなどが投票の項目だった。

非公式の投票所では早くから大勢が行列。ほとんどの場所はお祭りのような明るい空気だった。

しかしマドゥロ大統領は、この投票は「無意味だ」と一蹴していた。「野党同士で集まり、自分たちの勝手な仕組みで、公職選挙の取り決めもなく、事前の認証手続きも事後の認証もない。まるで自分たちに自治権があり、好き勝手にきめられるかのようなふるまいだ」と、大統領は批判している。

マドゥロ大統領は、政治経済危機を収束させるには制憲議会の選挙しか方法がないと主張。改憲によって反対勢力を「無効化」し、「クーデターを企てる連中」を倒し、国の平和を推進すると述べてきた。

一方で反対勢力は、制憲議会の発足と改憲によって今年の地方選と来年の大統領選が延期されるのは間違いなく、野党が多数を占める議会はいっそう権限を縮小されると懸念している。

ベネズエラは、輸出収入の約95%を占める原油の価格下落のなかで、衣料品や食料が不足する深刻な経済危機に直面。政府は福祉予算の大幅削減を余儀なくされ、マドゥロ政権の支持率低下につながった。

反対勢力はマドゥロ政権が経済運営を誤っただけでなく、民主政府の様々な仕組みを損なっていると批判している。

今年3月末には最高裁が、野党多数の議会から立法権を取り上げ、今後は最高裁が行使するとの判断を示した。数日後に最高裁はこの決定を撤回したが、反対勢力は最高裁の決定は大統領による「クーデター」だと非難。これを機に、反政府デモが連日開かれるようになり、激化した。

(英語記事 Woman, 61, shot dead in Venezuela voting queue