小田桐誠(ジャーナリスト)

 ひとり暮らしの学生や若いサラリーマンを中心に、テレビ受像機やパソコンを持たない世帯が増えている。ワンセグ放送受信機能付きのケータイに続きタブレット端末やスマートフォン(スマホ)が普及し、「テレビ視聴はタブレットあるいはスマホで」が日常になりつつあるのだ。

 「受信料の公平負担は社会の要請だ。タブレットでもスマホでも放送を受信できる端末を所有している場合、NHKとの受信契約が生じ、受信料を支払わなければならない」がNHKのスタンスである。

 だが、受信契約・受信料徴収に訪れるNHKの委託を受けた業者の職員や地域スタッフに「NHKの番組を見るためにスマホを持っているわけではない」「そもそもタブレットでNHKは見ない」と素朴な意見をぶつける若者が後を絶たない。

 放送法やNHKの放送受信規約を読み込み、インターネットでNHKの集金スタッフを追い返す方法を学んでいる若者の中には、「法律では“設置”と“携帯”の用語を区別して使っている。スマホは携帯するものであって受信設備の設置に当たらない」などと断固拒否する。

 放送法第64条第1項の「協会(NHK=筆者注)の放送を受信することができる受信設備を設置した者は、協会と受信契約をしなければならない」とあるからだ。全国各地では、この受信契約をめぐっては裁判で争われている。NHKが勝訴する場合もあるが、第一審で敗訴し控訴することもある。

就任会見で記者の質問に答えるNHK・上田良一新会長=1月25日午後、東京都渋谷区神南のNHK(宮川浩和撮影)
就任会見で記者の質問に答えるNHK・上田良一新会長=
1月25日午後、東京都渋谷区神南のNHK(宮川浩和撮影)
 ケータイやスマホでの放送の受信を含めた受信料制度の今後のあり方について、今年1月25日付で会長に就任した上田良一氏(元三菱商事代表取締役副社長執行役員)は、2月27日に会長の諮問機関として「NHK受信料制度等検討委員会」(座長=安藤英義・専修大学教授)を設置。諮問第1号「常時同時配信の負担のあり方について」、諮問第2号「公平負担のあり方」、諮問第3号「受信料体系のあり方」の検討を始めた。

 6月27日、検討委員会は第1号の答申案をまとめ同日に開かれた経営委員会に提出した。第2号、第3号も7月末には答申案を公表する予定だ。原案の柱では、テレビを持たずネット同時配信のみを利用する世帯について別の受信契約を新設すること。支払いは世帯単位。スマホなどでネット受信アプリのダウンロードなどの手続きを済ませた者を対象とする、としている。