6月27日に開いた経営委員会で放送センター建て替え工事担当の大橋一三理事が説明したスケジュールは次のようなものである。

 まず、その日にホームページ上で業者募集を開始する。7月26日には参加申請を締め切り、業者からの提案書提出期限は12月20日。落札では技術提案、入札価格、コストを総合的に評価する総合評価落札方式を採用する。そこでは、費用だけではなく技術提案を重視。コストについての参考額は600億円で、NHKが事業運営していく上での目安の数字になる。

 入札に当たっての予定価格は改めて設定するが、入札に参加しない業者に積算させ、来年春には確定したいと考えている。600億円には、放送設備は含まれていない。これは将来の放送内容が不確定なためで規模や価格は見通せない。放送設備は既存設備の更新という形で段階的に整備するため、全体でならせば減価償却費を原資とする従来の設備投資の範囲内で原則対応することになろう。

 2014年度の収支予算と事業計画の説明資料によれば、放送開始100周年に当たる2025年に運用開始を想定。近年の民間放送事業者の新社屋建設コストなどを参考に試算し、総額3400億円と見込んでいる。費目はざっくりと、建物経費が1900億円、番組制作設備や送出・送信設備などに1500億円とはじいた。

 大橋理事が説明したように、放送設備は更新という形で段階的に整備するため、初期の設備費はぐっと圧縮され1000億円を下回るかもしれない。仮に総額3000億円とすれば、すでに2011年度から始めた建設積立資金が1707億円ある。

 2017年度から運用開始前年度まで8年間あり、毎年100億円ずつ積み立てれば800億円だ。この金額は、2010年度以降の契約総数とBS契約の伸びを見れば、そう難しい目標ではない。なにしろ2015年度は278億円もの繰り入れを実施しているのだから、年150億円平均の積み立ても可能ではないか。957億円に達した繰越金残高も増えていくだろう。もう放送センター建て替え資金は用意できたも同然だ。

 もともとNHKの財務体質は健全だ。オンライン上で公開しているここ数年の連結財務諸表などを参考に、その財務体質の特徴的な点を見ていこう。

 テレビ放送開始前の1950年前後、各都道府県に建設した放送局が順次建て替えの時期を迎えていることもあって、NHKの事業収入に占める減価償却の比率が実は10%を超えている。上場平均、放送業平均とも4%台で、通常7%を超えると過大であるといわれている。そんな常識からすれば、NHKの事業収入と比べた減価償却費の割合は超過大と言っても良い。