そもそもアベノミクスとは何なのか?

 アベノミクスとは 1.量的緩和 2.財政出動 3.成長戦略 という3つの柱を基本に、「適宜適切な政策を打つ」というデフレ脱却を目的とした「総合的な経済政策の総称」であり、何か特別な政策があるわけではないし、特効薬のようなものではない。まぁ、簡単に説明すれば、インフルエンザにかかった時処方される「総合感冒薬」のようなものであり、特効薬の「タミフル」はないという話である。アベノミクスという言葉ばかりが先行し、イメージが膨らみすぎているのは問題といえよう。

 唯一、アベノミクスが従来の政策と違うのは、1の量的緩和であり、大規模な量的緩和により通貨を増やし、結果的に通貨安に持ち込み、製造業などの国際競争力を大きく引き上げていることにあるのだと思われる。また、通貨増刷効果により、株式などの資産価格が上がるとともに、円安による効果で、円換算での企業の海外資産や海外売り上げが上昇し、企業のバランスシート改善が起きていることにあるのだと思う。

 2.の財政出動に関しては、小泉構造改革、民主党の公共事業叩きなどにより、弱体化しまともに更新されてこなかった日本のインフラを見直し、震災などの教訓も糧として、少子高齢化と地震大国に合わせた新たな設計図に基づくインフラ計画を作るというものであるが、オリンピック特需や建設労働者等の人の問題もあり、なかなか前に進んでいないのが現状であると思われる。しかし、だからあきらめるわけにもいかず、人の育成を含め中長期的対応が必要となる大切な柱だと思われる。

 そして、3、の成長戦略であるが、ウーマノミクス(女性の活用)や特区制度など規制改革、TPPやコーポレートガバナンス(企業統治)強化など企業改革が含まれるが、経済政策として正しく機能するかは不透明である。国が民間企業にどこまで関与すべきなのか?そして、規制を緩和することで本当に景気が改善されるのかは不透明である。まぁ、良くも悪くも聞こえの良いお題目を並べているようにしか見えないし、それはそれでよいのだと思われる。逆に政府の押し付けは民間の自由なビジネスを阻害し、それが結果的にマイナスになる場合も多いのが事実だからである。

 では、「日本を救うのはアベノミクスしかない」という与えられたテーマの主題に入りたい。先述したようにアベノミクスとは「デフレ脱却」を目的にした総合的な経済政策の総称である。これに正解も間違いも存在しない。

 唯一、議論が分かれるとすれば「デフレ」は善か悪かという話になる。デフレというのはモノの値段が継続して下がり続ける状態を言う。消費者から見れば、こんなにありがたいものはないが、結果的にこれは経済規模を引き下げるだけでなく、売価の低下は流通業者を苦しめ、生産者にしわ寄せがいき、結果的にそこにかかわる労働者に負担が行くことになる。いわゆるデフレスパイラルといわれるものである。ここで気を付けたいのは、消費者は単なる消費者ではなく労働者でもあるという事である。

 それに対して、適正なインフレは経済規模を拡大させ、デフレの反対で所得などの上昇にも寄与する。モノの値段は上がるが賃金も上がる状態である。これは拡大を前提とした資本主義経済では正しい選択であるといえる。問題があるとすれば、価格の上昇と賃金のアップの間に時間差があることと、それが適正に賃金に反映されるかということになる。この点に関しては「政労使交渉」や税制上の優遇などで対応しているが、さらなる努力が必要であるといえるのだろう。

 「日本を救うのはアベノミクスしかない」という事であるがアベノミクスを批判する主張の多くは、単なる印象論であったり、非経済学的な非論理的主張ばかりである。そして、まともな具体的対案を見たことがない。今回の選挙でも同様である。対案がないのであれば「アベノミクスしかない」といえるのだろう。