鈴木涼美(社会学者)
 
 現在、安倍政権は女性支持率がイマイチ奮わないらしい。これは各紙世論調査の数字と、私の日常生活レベルでの肌感覚とがほぼ一致している。確かに女性にあんまり人気がない。

参拝のため靖国神社を訪れた小泉純一郎前首相
=2007年8月15日、東京
参拝のため靖国神社を訪れた小泉純一郎前首相
=2007年8月15日、東京
 男性の方が相対的にコンサバティブな思想の人が多いだとか、女性の方がより反戦気質が強いといえばそれらしい理由になるが、周囲の話す内容を聞いていると必ずしもそういったことではない。小泉純一郎政権時代、首相の靖国参拝の様子が放映された翌日、世の女性たちはリベラルな都会人としての立場も忘れてその凛々(りり)しい姿に見ほれた。

 そもそも政治家を好きだ嫌いだと言うとき人は必ずしも政策や思想では判断しないし、歴代首相が全て「異性」となる女性目線では、政策より性格、さらには見栄えなどが関係してくるのは当然だろう。「男として」魅力を感じれば、結構細かい政策の不一致などは目に入らない。しかし、そういった点で安倍首相は女性に好かれる要素がないかというと、それは結構疑問で、むしろ各国の、あるいは日本の歴代首脳を見比べて、割といい線いってるといえなくもない。

 オバマ元米大統領やブレア元首相、あるいは亡くなった中川昭一元財務相に比べるとややフォトジェニックさに欠けるような気もするが、安倍首相と石破茂氏であれば首相の方がタイプ、という女性が多くてもおかしくないし、髪形だって某米大統領よりはずっとマシだ(ちなみにトランプ大統領も女性からの支持は男性からの支持に比べて少ない)。そもそも女性は故・宮沢喜一元首相のようなおじいちゃんよりは、若々しい政治家が好きである。

 また、性格的な面でも、男性にモテる男性というのはポイントが高い。あれだけ政治家に好かれる政治家であれば性格もものすごく悪い印象は受けないだろうし、橋下徹氏的な「頭はいいけど若干いやなやつ」というイメージもない。笑顔のチャーミングさは米国の田舎のおばさまたちが大変気に入っていたブッシュ元米大統領にも引けを取らない。

 さて、しかし、安倍首相、ひいては安倍政権に向けられる女性の評価は辛辣(しんらつ)だ。ポイントとしてはこれは2012年以降、つまり再登板後に特に顕著に見られる傾向だということだ。小泉政権下の官房長官時代は小泉人気も手伝って、黄色い声が上がるほどであったし、あるいは2006年に戦後最年少で首相となった頃は、若きトップ誕生に女性も割と沸いていた。その後度重なる閣僚の不祥事などを経て、07年の参院選では歴史的大敗を喫すのだが、その辺りは男女関係なく支持率は下がっていたので、女性人気がどうという話とはあまり関係がない。すぐに退陣せずに粘ったものの、下痢が止まらず結局辞任。塩爺(塩川正十郎)も中途半端に放り出した、とかなり心象が悪かったイメージだ。この辺りもあまり男女は関係なさそうである。