北条かや(著述家)

 先日、1人のツイッターユーザーがネットに投稿した写真が「炎上」した。

 友達と大須のかわいいアイス食べたんだけどみんなインスタ写真撮る目的だからかほとんど捨てられててインスタの闇を感じた

 見れば、色とりどりのアイスクリームが無残にゴミ箱へ捨てられている。名古屋にオープンしたという、ソフトクリーム専門店。写真共有アプリ「インスタグラム」(Instagram)などに載せる目的で撮影し、食べきれない分を捨てた客がいたのだろう。

 これを見てネットでは、「食べ物を粗末にするなんて許せない」「インスタグラムの闇を見た」など、非難の声があふれた。なぜこんなことが起こってしまうのか。

 インスタグラムは、全世界で1カ月に7億人以上が使う写真・動画共有SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だ。スマートフォンのカメラで撮った画像や動画を、インスタグラム独自のフィルタで加工し、短いコメントをつけて共有する。好きなユーザーをフォローして、コメントを残すことも可能だ。「写真をアップするだけ」のシンプルな仕組みがかえって斬新で、日本でも20~30代を中心に利用者を増やしてきた。
 このアプリの可能性に目をつけていたのが、米フェイスブックだ。2012年には、フェイスブック社として過去最大の約10億ドルでインスタグラムを買収すると公表し、大きな話題となった。当時は、インスタグラムの運営企業が設立されてわずか2年。未知数だが大きな可能性を秘めた新手のSNSに、フェイスブックは脅威を感じたのかもしれない。10億ドルという破格の買収額がそれを物語っている。

 今や日本でも若者を中心に、「インスタ」は共通言語となった。カフェでは若い女性たちが「インスタ映え」する写真を撮る光景が見られ、「インスタ映え」するスポットやサービスが人気を集めている。若者たちの24時間には、当たり前のように他人の写真へ「いいね!」を押す時間が組み込まれ、「いいね!」がほしいから、写真をかわいく「盛る」ための加工アプリがヒットする。