サケの取引価格が高止まりとなっている。東京・築地市場での10月の平均価格は輸入、国産ともに現在、前年同期に比べ1~3割高い。ギンサケは7割ほど値上がりしている。急激な円安で輸入価格が高まったことも背景にあるが、世界的なすし人気や東日本大震災後に輸入が拡大したチリ産銀サケの出荷調整、ウクライナ情勢など複雑な要因が絡み合ったことが要因のようだ。

 財務省の貿易統計などによると、平成24年のサケの国内需要は40万トン超。6割強を輸入が占めており、そのうちの約6割がチリ産だ。築地市場での輸入サケ・ますの10月の平均単価は1キロ1292円で前年同月より12%高い。

 さらに輸入サケの高騰につられ、国内の養殖物も値上がりしている。総務省の小売物価統計調査によると、10月の東京23区内におけるサケの小売価格は100グラム279円と前年同期比で14%高値だ。東日本大震災の津波で養殖施設が流された国内有数のサケの養殖県である宮城県産も、昨年10月は1キロ600~700円台が相場だったが、今年10月は1000~1400円台と2倍近くに跳ね上がっている。

 ここ2年の急激な円安により輸入サケの価格が上がったことや、水揚げに使用する燃料費などの高騰もサケの価格高止まりに影響はしている。だが、その大きな要因は23年の東日本大震災後、宮城県など産地である東北地方のサケの水揚げ量が激減し、その供給量を補填(ほてん)するためチリ産サケの輸入量が急激に増えたことにある。

 そもそも、震災前の22年のサケの卸値は1キロ900~1000円台で推移していた。それが、震災後の23年には700~900円台に2~3割も値下がりした。水産庁加工流通課は「震災後にチリが日本へ大量輸出したが、供給量が急激に増えたため買いたたかれ、輸入サケの価格が下落した」と指摘する。

 東北地方の本格的なサケの水揚げ量が回復しないなか、円安が直撃し、日本に輸入されるサケの価格は高騰。さらに、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアが今年8月に欧米からの食品輸入を禁じ、チリ産サケの買い付けを増やしたことで、「サケの取引価格が急上昇したのではないか」(業界関係社)とも予想される。

 近年の日本食ブームもあり、サケの需要は世界的に拡大している。国内のサケの水揚げ量が本格回復しないなか、円高や日本への出荷量が削減するなど複雑な要因が絡み、価格上昇につながっているようだ。(西村利也)