科学的特性マップは、日本全国を対象に地層処分に関する適性度合いを示すものである。地層処分は既に前提となっているわけだが、なぜ地層処分という選択肢を採るのかという基本的な理解が国民に浸透しているとは言い難い。
核のごみの科学的特性マップを公表し、取材に応じる世耕経産相=7月28日、経産省
核のごみの科学的特性マップを公表し、取材に応じる
世耕経産相=7月28日、経産省

 事実関係を整理すれば、高レベル放射性廃棄物を人間に影響のない形で処分する方法は、1950年代ごろから米国や国際機関などにより研究されてきた。当初は海洋に処分することが有望視されていたが、国際条約により禁止された。続いて、ロケットで打ち上げ地球外に投棄する方法も検討されたが、コストや打ち上げ失敗の可能性などから立ち消えとなった。

 こうした研究や議論を経て、現在は、地層処分が最も適した方法であるというのが国際的な共通認識となっており、例えば2011年7月に出された欧州委員会の放射性廃棄物に関する指令でも、現在利用可能な技術のうち地層処分だけが、受動的安全性を固有の特性として有し、すべての潜在的な危険に対する保護を長期間にわたって保証できる最も安全な選択肢とされている。

 確かに安定的な地層の中に埋設してしまえば、人間の生活圏・生物圏から隔離することができるのであろうが、地震国日本の国民にとって、地面は動くものである。地層処分以外に選択肢はないのか、それぞれのメリットとデメリット・リスクは何かから改めて丁寧に説明すべきであろう。特に重要なのは、地層処分のデメリット・リスクも公平に明らかにすることだ。後からデメリットやリスクが明らかになることが最も信頼を損なうことは、わが国の原子力関係者は既に痛いほど経験済みのはずだ。

 例えば、わが国は可逆性や回収可能性を担保しつつ地層処分を進めることとしている。科学の進歩によって、より良い処分方法が見つかれば後戻りできる余地を残すものとされたが、逆にリスクを高めたり、コストを膨らませる可能性もある。ファイナルアンサーではないという安心感と引き換えに、リスクやコストを高める選択肢を採っていないだろうか。そのデメリットやコストについても改めて国民に開示し説明していく必要があるのではないか。

 あるいは、地層処分する際の多重バリアシステムの一つであるオーバーパックという金属製の容器は、内包する放射性物質が少なくとも1000年は地下水と接触することがないよう厚さ約20センチにすることが想定されている。しかし「それでも地下水と接触した場合」にはどうなるのかといった、リスク評価一つ一つを丁寧に開示すべきであろう。