ヨシザワ タカフミ(東京都)

 今回の選挙ほど風が吹かなかった選挙はないと考える。自民党の小泉進次郎氏が当選後のインタビューで述べた言葉は、「熱狂なき選挙であり、熱狂なき圧勝だった」。自民、公明両党の圧勝で幕を閉じた第47回衆院選である。私自身も一人の有権者として、本当に今回の選挙に大義はあったのかと思わせるような選挙であった。


 自民・公明両党で、326議席になったことに対しては多少予想していたけれども、実際目にすると愕然となった。理由としては、野党の存在価値のなさである。今回の選挙が不意打ちであることは野党に大きなダメージをあたえたと考えることが出来る。また、野党共闘も出来なかったと考える。民主も目標の100議席には到底及ばなかった(73議席)。また、維新の党もおひざ元の大坂でたったの5議席しかとることが出来なかった。生活・社民はともに低迷し2議席であった。唯一の野党の勝利は共産の8議席から21議席に増えたことにあろう。共産党は小選挙区で1996年以来の議席を獲得し、大幅に議席を増やした。つまり、共産党の議席が増えたのは「反安倍」を掲げていたことに対して、共鳴した国民が投票したのであろう。

 しかし、最初に述べたように今回の選挙結果から分かることは、野党の存在価値のなさである。そのなかでも、一人負けといっても、特にダメージが大きかったのは「次世代の党」であろう。

 次世代の党の議席数は19議席から2議席に大幅に減少したのである。

 まず、当選したのは小選挙区で、元来地盤のある平沼(岡山)・園田(熊本)の2名にとどまった。

 「自民党の右に確固たる軸を作る」をスローガンに戦った次世代の党は、なぜ支持されなかったのか。敗北原因として、自民党寄りの政策を掲げたことと知名度の低さ・保守層の離反により議席を失うことになったと考えることが出来る。実際には今の自民党がいるのにわざわざ「次世代の党」に投票する必要があるのかといった意見であろう。さらに、次世代の党が結党して4か月弱しかたっていないという知名度の低さと、ネット保守の離反にあるだろう。実際に、次世代の党は、アベノミクスに賛成し、憲法改正を訴え、自民党寄りの政策を掲げ、保守を意識するPR「タブーブタのうた」を制作し、保守層の票を狙ったのである。しかし、蓋を上げればたったの2議席であり、マイナス17議席である。

 これは、「次世代の党一人負け」といっても過言ではないのである。

 つまり、国民の目線としては次世代の党の政策において自民との差異がよくわからなかったことと、知名度の低さが主な敗北原因であろう。ここで、実際に次世代の党の綱領・政策骨子に注目してみる。

次世代の党の綱領・政策骨子

国政も地方も参政権は国民固有の権利であることを明記、移民の国籍取得要件等の厳格化

自立、新保守、次世代の理念の下で自主憲法制定

正しい歴史観点、愛国心を育む教育

憲法に自衛権や家族尊重に関する規定を新設

集団的自衛権に関する憲法解釈の適正化と安全保障基本法の整備

直間比率の見直し、法人実効税率の大幅引き下げ

医療費自己負担割合の一律化

世界最先端の原子力技術を維持

公正と秩序を維持する規範・道徳教育

 2014年11月25日、次世代の党は、衆議院選挙の公約を発表し、自民党の安倍晋三が掲げる経済政策「アベノミクス」の基本的な方向性は容認するが、2014年10月に決定した日本銀行の追加の金融緩和を白紙撤回させ、過度の円安を是正するとする。

 このように、極めて自民党寄りの政策であり、極めてアベノミクスに友好的であることがわかる。やはり、次世代の党は野党として十分な役割を果たせなかったのであろう。また、国民の政治離れにより政治無関心層が増えたことは、一定の支持層がいない次世代の党にとっては大きく不利な戦いであったと改めて考えることが出来る。このように、今回の選挙において次世代の党が一人負けした事実は大いに注目しなければならない。

自民・公明圧勝選挙は別名、次世代一人負け選挙といってもいいかもしれない。