2017年08月15日 13:38 公開

中国安徽省で今月、インターネットやゲームの依存症の矯正プログラムを提供する施設で18歳の少年が死亡したことを受け、中国ですでに賛否両論があった施設への批判の声が高まっている。

報道によると、少年には複数の傷があり、施設の所長と教官4人が当局に拘束された。

「ブート・キャンプ」(軍隊の新兵訓練から派生した短期集中プログラム)とも呼ばれる同様の施設は中国各地で相次いで設立されている。一部は軍隊式の規律で知られ、やり方が厳しすぎるとの指摘もある。

「傷だらけに」

地元紙の安徽商報によると、安徽省の施設で死亡した少年の母親は、リュウという苗字を明らかにしている。この女性は、息子のインターネットへの熱中度はあまりにも深刻で、自分や夫以外の助けが必要なほどだったと話した。

このため夫妻は「心理指導や身体的訓練」をうたう同省阜陽市の施設に息子を送ることを決意したという。

リュウさんは今月3日に息子を施設に入れたが、2日後に息子が病院に搬送されたと連絡を受けた。

少年は病院で死亡。死因は明らかになっていない。

しかし少年の両親は、遺体を調べた医師から息子に20以上の外傷があり、内臓損傷もいくつか認められたと説明を受けたと語った。両親は遺体安置所で息子の遺体と対面した。

「私の息子の体は傷だらけでした。頭からつま先まで。(中略)施設に送った時は彼はまだ元気でした。48時間でどうして死んでしまうのでしょう?」と、母親は安徽商報に語ったという。

国営中央テレビ(CCTV)によると、施設の所長と4人の教官が拘束され、当局は捜査が終了するまで営業を停止するよう施設に命じた。

「家庭教育の欠如」

事件を受けて、多くのネットユーザーや新聞の社説が、矯正施設への規制強化を訴えた。少年の両親を批判する声もあった。

中国版ツイッター「新浪微博(ウェイボ)」のあるユーザーは、「結局は、家庭教育の欠如のせい」とコメントした。

ネット依存症の矯正プログラムは近年、中国各地で提供されるようになった。公営病院が運営する施設もあれば民間のクリニックのものもある。

入所者への暴力や電気ショック療法が批判されるだけでなく、衝撃的な事件が報道されたことから、疑問視する声が高まっているが、施設には依然として人気がある。昨年には、入れられた施設で暴行された恨みから10代の少女が母親を殺害したいう事件も報じられた。

中国でのネット依存症を調査した韓国・梨花女子大学のトレント・バックス教授は、手っ取り早い解決法を求める親たちの「感情に訴える広告」を多くの施設が打っていると指摘する。

バックス氏はBBCに対し、「親たちも、たった一人の子供がゲームばかりして勉強しなかったせいで将来成功できないのではないかと、強い恐怖を抱いて行動している」と語った。

バックス教授は、一部の親たちには、「問題のある子供を『まっすぐにする』ためには暴力を使っても構わないという、『伝統的』な教育観」があるのではないかと指摘した。

当局による施設への取り締まりも始まった。今年に入りネット依存症の治療で電気ショックを使用するなど暴力的な手法を明確に禁止する法案が提出されている。

企業も未成年のオンラインゲーム利用規制に動き出している。ネットサービス大手の騰訊(テンセント)は先月、一番人気のゲームについて子供の利用時間を制限する仕組みを開始した。

(英語記事 Teen's death at Chinese internet addiction camp sparks anger