米国はネバダ砂漠、中国はタクラマカン砂漠、インドはタール砂漠、パキスタンはシン砂漠、旧ソ連は砂漠がないため広大な平原で地下核実験を行っている。ネバダ砂漠の核実験場は日本の鳥取県全域に相当し、旧ソ連・カザフスタンのセミパラチンスク核実験場の面積は四国とほぼ同じである。つまり地下核実験は砂漠などの広大な場所が必要になるのだ。
5月14日、新型の中距離弾道ミサイル「火星14」の発射実験成功を喜ぶ北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮通信=共同).jpeg
5月14日、新型の中距離弾道ミサイル「火星14」の発射実験成功を喜ぶ北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮通信=共同).jpeg
 そのため、北朝鮮は過去に、金日成政権が旧ソ連・ブレジネフ時代(1964~1982年)の末期に旧ソ連共産党指導部に対し「核兵器を開発したあかつきには、その実験場としてソ連の地下核実験場を使用させてほしい」と非公式に要請したことがある。(「産経新聞」1993年3月20日)

 金日成政権がブレジネフ政権に場所借りの要請をした時期は、1970年代末から1980年代初めで、希望した実験場はセミパラチンスクの可能性がある。

 ブレジネフ政権が当時、北朝鮮の核実験場使用の申し入れにどう対応したかは明らかになっていない。しかし、このような北朝鮮の動きは、北朝鮮には核実験に適した場所がないことを北朝鮮(金日成)が認識していたことを示している。

 豊渓里周辺は岩盤となっているため安全という見解があるが、度重なる実験により岩盤に亀裂ができている可能性もある。朝鮮半島は豊かな地下水脈が流れており、最終的に少量の放射性物質が日本海へ流出しないという保証はどこにもない。

◆地下核実験でも起きる放射能汚染
 北朝鮮が過去5回行った地下核実験では、放射能漏れは起きていないようだ。

 大気圏に放射性物質が放出された場合は、日本海を飛行する米空軍のWC-135大気収集機と、集塵ポッドを搭載した航空自衛隊のT-4 練習機で放射性粒子を収集することができる。この結果、これまでは放射性物質は観測されていない。

 だが、1960年代に遡ると、米国、旧ソ連、中国、フランスは地下核実験で放射能漏れを起こしており、同様の事態が北朝鮮で起こらないとはいえない。
 
 米国は1960年代に行った地下核実験で放射能漏れを何度も起こしている。放出された放射能の規模は大気圏内実験並みであったという。その後、放射能の封じ込めの技術の進歩により、放射能漏れはほぼなくなった。