加えて、射程数百キロの短距離弾道ミサイル「スカッド」や射程1500キロ以上の準中距離弾道ミサイル「ノドン」で、韓国南部の米軍基地や在日米軍基地、さらには東京などの大都市の攻撃も可能だ。北朝鮮がこれらのミサイルに生物・化学兵器を搭載すれば、核弾頭でなくても大きな被害を生むことができる。
2015年10月、平壌での軍事パレードに姿を見せた北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」(共同)
2015年10月、平壌での軍事パレードに姿を見せた北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」(共同)

 北朝鮮のICBM能力はまだ実戦配備できる段階までは達しておらず、米国本土が直接核の脅威にさらされているわけではない。しかし、仮に北朝鮮が対米核攻撃能力を完成させるのを阻止するために予防攻撃を行うとしても、北朝鮮が日韓に大きな損害を与えることができるため、米軍がすぐに北朝鮮に対して軍事行動を起こすことはないだろう。当面は、北朝鮮への経済制裁をさらに強化するしかないと見られる。

 レッドラインがあるとすれば、北朝鮮がICBMを実戦配備し、対米核攻撃が可能になる時だろう。では、それはいつになるだろうか。

 北朝鮮は7月28日のICBM試射を行う数日前から、同国西部でICBMのテストをする動きを見せており、朝鮮戦争休戦64周年にあたる27日に発射するのではないかと米国などが警戒していた。しかし、実際には北部の中朝国境付近から、しかもこれまでのように朝ではなく深夜に発射し、どこからでも、そしていつでも奇襲攻撃できる能力を誇示した。

 北朝鮮は、米国の独立記念日である7月4日に初めてICBMの試射を行ったが、その際も「火星14号」をロフテッド軌道で打ち上げており、約2800キロまで上昇、およそ40分間飛行した後、日本海に着水している。通常軌道で発射されていた場合、アラスカやハワイが射程に入ったと考えられていた。わずか3週間ほどの間に、「火星14号」の射程が相当伸びたことがわかる。