2017年08月18日 10:19 公開

スペイン北東部の主要都市バルセロナで17日午後4時50分(日本時間同11時50分)ごろ、繁華街のランブラス通りでワゴン車が歩行者を次々とはね、少なくとも13人が死亡し、100人以上が負傷した。同国警察はさらに18日未明、バルセロナから海岸沿いに西約120キロの港町カンブリスで、容疑者4人を殺害し、2件目の襲撃事件を未遂で阻止したと発表した。警察は、2つの襲撃事件が近くの町の民家で16日夜に起きた爆発事件と関係するとみて調べている。

スペインのメディアによると、カンブリスでも襲撃犯たちがワゴン車で歩行者6人と警官一人をはねて負傷させた。車両が横転したため出てきた男たちに、警察が発砲したという。

警察は4人を射殺し、一人を負傷させたと発表している。襲撃犯たちは自爆ベルトを身に着けていたという。

これに先立ちバルセロナでは、中心部を走るランブラス通りの歩道を白いワゴン車が猛スピードで蛇行し、意図的に歩行者を次々とはねたという。

警察は、モロッコ系と北アフリカ・メリリャ系の男2人を逮捕したが、いずれも運転手ではないという。運転手は徒歩で現場から逃げたという。

スペインのマリアノ・ラホイ首相は、「イスラム聖戦主義による攻撃」だと断定。「テロリストは団結によって倒す」と述べ、国として3日間、喪に服すと発表した。

スペイン当局は、バルセロナとカンブリスの襲撃を、カンブリスから西南約90キロのアルカナルで16日夜に起きた民家爆発と結びつけている。民家爆発では一人が死亡した。

現地警察幹部はアルカナルの爆発について、住民たちが「爆発物を準備していたようだ」と話していた。

バルセロナの事件について、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が自分たちのアマク通信で「イスラム国の兵士たち」によるものだと犯行声明を出したが、裏付けとなる証拠や詳細は示していない。

バルセロナ郊外では、警察検問に車を突入させた男を警察が射殺したが、これがランブラス通りの襲撃と関係するかは不明という。

調べによると、バルセロナ襲撃で使われたワゴン車は、市内でレンタルされたものだった。警察は車内から身分証などを押収し、「ドリス・ウカビル」という男性の写真を公表した。地元メディアはこの男性はモロッコ生まれの20代だと伝えたが、報道を見て出頭したこの男性は警察に、自分の身分証が盗まれて使われたのだと話しているという。

バルセロナの事件当時、観光客で「ごった返していた」ランブラス通りを歩いていたというアーメル・アンワルさんは、「いきなり衝突みたいな音が聞こえて、通りにいた人がみんな走り出した。悲鳴を上げながら。すぐ横にいた女性は、叫んで子供たちを呼び集めていた」とスカイニュースに話した。

「警察があっという間に集まった。銃や警棒を持った警察があちこちに。そして通りにいるみんなが、下がって退避させられた。警察は通行人に『下がれ、下がれ』と怒鳴っていた」

米ニューオーリーンズから訪問していたビジネスマンは、タクシーでランブラス通りに到着したとたん、「悲鳴が聞こえた」と言う。「まるで映画スターに対する悲鳴みたいに聞こえた」。

「ワゴン車が見えた。もう前の部分が壊れていて、できるだけ速く大勢をはねようと左右に蛇行していた。大勢が地面に倒れていた」


<欧州で相次ぐ車両攻撃>

  • 2017年8月9日――パリ。男性が乗用車で兵士の集団に突入。6人負傷。
  • 2017年6月19日――ロンドン・フィンスベリーパーク。イスラム教施設から出てきた人たちを男がワゴン車で攻撃。一人死亡。
  • 2017年6月3日――ロンドン。イスラム聖戦主義者3人がワゴン車でロンドン橋の歩行者を襲撃。8人死亡。
  • 2017年4月7日――スウェーデン・ストックホルム。ウズベキスタン人の男がトラックでデパートに突入。4人死亡。
  • 2017年3月22日――ロンドン。英国生まれの男が乗用車でウェストミンスター橋の歩行者を次々とはね、警官を刺殺した。歩行者は4人死亡。
  • 2016年12月19日――ベルリン。チュニジア人の男がブライツシャイト広場のクリスマス市にトラックで突入。12人死亡。
  • 2014年7月14日――仏ニース。革命記念日の夜、チュニジア人の男が海岸沿いのプロムナード・ド・アングレで記念花火を見物している人たちにトラックで突入。86人死亡。
  • 2014年12月22日――仏ナントのクリスマス市にワゴン車が突入。11人負傷。
  • 2014年12月21日――仏ディジョンで男がワゴン車で歩行者を襲撃。13人負傷。


【解説】 気がかりな多発――ゴードン・コレラ安全保障担当編集委員BBCニュース

人が多く集まる観光名所を「ソフト・ターゲット」、つまり攻撃しやすい標的とする恐ろしい車両攻撃が、またしても欧州の都市で起きた。

昨年夏の仏ニースでは、革命記念日の花火大会が標的にされた。次にベルリンのクリスマス市が。ロンドンでは、ウェストミンスター橋とロンドン橋、そしてフィンスベリー・パークで、乗用車はワゴン車が凶器として使われた。

英国では主要地点のリスクをいくらかでも軽減するため、車止めなどバリアが設置された。ワゴン車を借りようとする人たちの身元確認についても検討されている。しかし英国だけでなく欧州各国の治安当局は、否が応でも現実を承知している。こうした手法の殺人計画を発見し阻止するには、限界がある。

使用される武器は簡単に手に入るものだ。そして訓練も連携も事前計画もほとんど必要ない。つまり情報当局が事前に察知できるポイントが、ほとんどないということだ。

いわゆる「イスラム国」が、バルセロナの攻撃は自分たちの「兵士」によるものだと声明を出したが、直接のつながりがあるのか、あるいは単にISの呼びかけにそそのかされただけなのかはまだ不明だ。ISの声明の言葉遣いからは、後者がうかがわれる。

ISとの関係がどういう形のものであれ、治安当局は同様の攻撃が今後も起きる可能性に備えることになる。


(英語記事 Barcelona attack: 13 killed as van rams crowds in Las Ramblas