岸本周平(衆議院議員)

 東京都議会選挙で自民党が歴史的敗北を喫し、小池百合子都知事の都民ファーストの会が圧勝しました。その陰で民進党は、選挙前から優秀な人材が都民ファーストに流れた結果、わずかに5議席に終わり、政党の意義を失いました。選挙中、稲田朋美前防衛相の失言や自民党国会議員のスキャンダルが相次いだ安倍内閣の支持率が下がり「自民党はダメだが、民進党はもっとダメ」という結果を突きつけられたわけです。

 一方、都民ファーストは一昔前の「新進党モデル」で勝ちました。つまり、労働組合の連合と公明党に、保守政治家が加わる図式です。新進党では小沢一郎氏が、都民ファーストは小池知事が中心となりました。そういえば小池知事は新進党の出身でもあります。

 フランス大統領選では、社会党、共和党と左右の既成政党が人気を失い、中道のマクロン氏が圧勝しました。米大統領選もトランプ氏という政治の素人が勝利しました。既成の政党や政治家に代わる受け皿があれば、大きな政治的変化が起きているのは洋の東西を問わない状況です。

 今、安倍内閣はさまざまな疑惑に対し「記憶にない」「記録にない」を連発するごまかしの姿勢と、国民を「こんな人たち」と呼ぶ安倍首相の「上から目線」で自滅しています。本来なら野党に絶好のチャンスが来るはずですが、第1党の民進党はお家芸の「内輪もめ」で、蓮舫代表も野田佳彦幹事長も辞任して総崩れ状態です。
民進党代表選で記者会見に臨んだ枝野幸男氏(左)と前原誠司氏=2017年8月21日
民進党代表選で記者会見に臨んだ枝野幸男氏(左)と前原誠司氏=2017年8月21日
 旧民主党は選挙による政権交代という歴史的な使命を果たしました。二大政党政治の下、国民の政治的な関心も高め、大きな成果があったと思います。しかし、その後、新たな使命を見いだせなかったことが最大の問題です。野党時代が長く、経験不足のまま政権運営に失敗した「負のイメージ」をいまだに引きずっているのです。

 どの政党でも、政策の幅はあるものです。それでも、侃々諤々(かんかんがくがく)議論した後でも一致団結するのが政党というものです。でも、党内での徹底した議論の末、決まったことには全員で従うというガバナンスが確立できなかったことも、歴史的使命を終えた以上しかたないのかもしれません。

 もちろん旧民主党時代には、子供たちへの施策を最優先する「チルドレン・ファースト」の哲学に基づく子ども手当や、高校授業料無償化、国際的スタンダードの農業への戸別所得補償といった評価される政策も進めました。この時は「政権交代」という大目標のために、党内も一致団結できていました。その後は、なぜか遠心力が働くことばかり続きました。利権集団である自民党と決定的に違い、「利権政治」を否定していたがために、権力を維持するという執念が薄かったのかもしれません。