8月3日の安倍改造内閣に“ポスト安倍”の一人と目される小泉進次郎氏(36)は、入閣しなかった。だが、将来は重要な位置につくであろう同氏は一体どのような自民党再生案を描くのか。この7年、同氏を追い続けてきたノンフィクションライター・常井健一氏の膨大な取材メモに、その手がかりは残されていた。

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 小泉がやりそうな再建策といえば、敵も巻き込むような拡大戦略だ。

 例えば、民進党を応援している労働組合を一本釣りし、組織内候補を自民党公認で擁立する。2016年の参院選では街頭でこう訴えていた。

「労働組合は民進党に入れる、農協は自民党に入れる。もうそういう時代じゃない。一人ひとりが自分の頭で考えて票を入れる時代です」

 彼にその真意を問うた。

「僕はあの枠組みが変わると思っているし、変わってほしいと思っている。政党と支援組織の結びつきのあり方がねじれているんですよ。

 労組には会社員の6人に1人しか入っていない。連合はその7割ですよ。だから、組織的には弱っている。しかも、労組が本来求めるような賃金の引き上げに積極的に今取り組んでいるのは自民党でしょう。だから、連合はなぜ民進党を支え続けるのか、組合員は疑問を持っていると思う」
会議で発言する自民党の小泉進次郎衆院議員=7月23日、東京(古厩正樹撮影)
会議で発言する自民党の小泉進次郎衆院議員=7月23日、東京(古厩正樹撮影)
 小泉は共産党との共闘に疑問を抱く民進党の保守系を取り込む考えも語った。小選挙区制下では難しいが、長い目で「連立」も視野に入れたら「平成の保守合同」につながるかもしれない。

「民進党を離脱した人は、ゆくゆくは自民党に流れる。それが一番すっきりする」

 思えば父・純一郎は古い自民党をぶっ壊す組織改革に着手した。その指揮を任せたのが、閣僚未経験の安倍だった。

 40代の彼はベテランが反発する衆院比例区の73歳定年制や候補者の全国公募を断行し、先人がアプローチできなかった熱狂的な若き保守層を新たに取り込むことで「自民党ではない自民党」に一新した。

「時代は組織よりも個人。『この人』となれば政党の枠組みも凌駕しちゃう」

 小池ブームを見ながら、潮目の変化をそう読む小泉は、当時の安倍と同じ当選3回生。父が育てた安倍を越える強かな改革者になれるのか。人気者の真価がいよいよ問われる。

(敬称略)

●とこい・けんいち/1979年、茨城県笠間市生まれ。ネット企業、出版社勤務を経て、2017年、「小泉純一郎独白録」(月刊文藝春秋)で第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。著書に『保守の肖像 自民党総裁六十年史』『誰も書かなかった自民党 総理の登竜門「青年局」の研究』など。