有田芳生(参議院議員)


 蓮舫代表の突然の辞任には驚いた。その2日前(7月25日)に開かれた両院懇談会を締めくくるあいさつで、「新世代の党を作るための人事を行う」「自身も衆議院への鞍替えのため東京の選挙区を決定する」と語っていたからである。懇談会は午後3時半から6時まで開かれた。それからほぼ1日を置いていきなりの辞任表明と記者会見である。何があったのだろうか。いや、あったのだと私は確信している。

参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏
参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏
 「アリちゃん(注=蓮舫氏は誰にでも『○○ちゃん』と呼ぶことが多い)、事後報告になったけど、代表を辞任することになりました」。そんな電話があったのは、記者会見が終わった直後のことだった。新宿の喫茶店から会見中の蓮舫氏に慰労のメールを送ったことへの返信だった。

 「心折れることもあったでしょう」。そう語ると「いやいや」といつもの「強い」彼女がそこにはいた。おそらく代表になってからの蓮舫氏は、内外からのさまざまな壁にぶち当たってきただろう。権力を持つものが誰しも経験する孤独で危険な「ダモクレスの剣」である。

 これは表面化していない「蓮舫降ろし」だった。そう判断する根拠がある。野田佳彦幹事長が辞任することが明らかになったとき、下馬評で次期幹事長にあがっていた議員同士で「打診があったとしても断ろう」という「密約」があった。

 「リベラル」と勝手にメディアが名付けている別のリーダーもそうした動きを推進していた。これでは蓮舫新体制などできるはずがない。辞任会見で蓮舫氏は人事に着手していたかと問われて否定した。しかし、それが事実だとしても間接的打診はしただろう。幹事長のなり手がいなければ、人事の核心が成り立たないからだ。蓮舫体制は「内部」から崩壊させられたのである。

 これが民進党の現状である。わたしは国会議員になって8年目に入った。民進党を「内部」から見つめてきて「またか」という既視感がある。消費税論議では深夜におよぶ激論があった。選挙総括でもしかり。それぞれの会合で顔と意見は違えどもどこかに違和感があった。

 民進党の議員には専門性のある優れた人材が多いことは確かだ。官僚、金融機関、弁護士、医師など、高い専門性を備えた経験から法案審議なども深い議論が行われている。それは無条件で評価されることである。しかし、どこかおかしい。

 組織論として代表的な違和感は「拍手で承認」とする党内手続きだ。たとえば激論がある。消費税にしてもエネルギー政策(原発問題)でも、調査会や議員懇談会で議論があっても、いつも「執行部に一任」か「拍手で承認」される。

 政党の最も重要な綱領(その党がめざす社会像や理念を示す基本文書)でも、そうした手続きで「承認」されてきた。無理からぬものがあるとは思う。民進党は旧民主党時代からずっと「雑炊」政党であるからだ。原発を維持、推進する労働組合の代表として議員に選出された者もいれば、「原発ゼロ」を方針とする労働組合を支持母体とする議員もいるからだ。