さらに視聴者の構成でみると『やすらぎの郷』は極端に高齢層に偏っている。シルバータイムドラマと銘打って始めたのだから、ここは狙い通りと言えるかもしれない。12時台の世帯視聴率では、横並びでトップ争いを演じているが、59歳以下の個人視聴率ではビリ争いとなっている。40~50代の男女にもある程度見られている『ひよっこ』とは大きな違いとなっている。

 ちなみに両ドラマの数字を比較すると『やすらぎの郷』は世帯視聴率では『ひよっこ』の3~4分の1。そして59歳以下個人視聴率だと、7分の1以下まで小さくなってしまう。

 同じ2400人のテレビ視聴動向を追うデータニュース社「テレビウオッチャー」で見ると、詳細に視聴動向が明らかになる。例えば『ひよっこ』では、第3週までに1回でも視聴した人は186人に達した。うち100~110人が各話の視聴者数なので、約6割の定着率といえる。一方、『やすらぎの郷』は、3週までに1回でも視聴した人が74人。うち20人ほどしか各話を見ていないので、定着率は3割ほどしかない。

 しかも第15週まででは2割に落ちてしまう。話題なので一度は見てみたが、1話ないしは数話見て辞めてしまった人がかなり多かったことを意味する。原因は明確だ。「話がちっとも先に進まない」(男性47歳)、「毎日同じ場面に感じられる」(女性74歳)などの声があるように、ドラマとして違和感を持った人が多かったからだ。
『やすらぎの郷』の一場面(テレビ朝日提供)
『やすらぎの郷』の一場面(テレビ朝日提供)
 評論家の中には「過激なテレビ批判」を評価する声も少なくなかったが、視聴者は「芸人たちが内輪だけに分かるネタで盛り上がっているのと同じ」とあるように、ドラマ内で展開されるテレビ批判は、普通の視聴者に響いていなかったようだ。23歳の男性は「つまらなかった」、61歳の男性は「豪華キャストで注目の作品」、53歳の女性は「離婚した二人が出るのね」の一言を残して、第1話しか見なかった。初回を見た33人のうち、6人が完全に脱落したのだ。

 そして第1週のうちに、さらに3人が視聴しなくなった。離脱率や約3割である。第3週まででは15人、離脱率45%。15週まででは20人、6割以上の人が見なくなっている。以上のように、視聴者は『やすらぎの郷』をさほど高く評価していない。

 それでもテレ朝としては、初めから織り込み済みの戦略だったのかもしれない。若年層や中堅層を捨て、高齢層の支持だけを集めることで世帯視聴率向上を、一定程度果たしたからである。視聴率も売り上げも容易に作れない昼の時間帯では、広告ビジネスとしてはあまり美味しいとはいえない。だとすれば、世帯視聴率の確保を着実に果たせば、全日(朝6時~夜12時)や三冠の視聴率競争において有利に展開できる。巡り巡ってスポンサーとの向き合いで有利に働くようになる。