テレ朝は2010~12年にかけて、視聴率を順調に伸ばし、三冠王にあと一歩まで迫ったことがある。この頃の幹部は「とにかく一度頂上に立つ」と、視聴率へのこだわりを滲ませていた。日テレが強い全日で、若年~中堅層を捨て高齢層で世帯視聴率を作る作戦に特化している可能性がある。

 実際テレ朝は、GP帯(ゴールデン・プライム、午後7~11時)のドラマを刑事もの・ミステリーものに特化したり、シリーズ化したりして、安定した視聴率を得ている。中高年に強いドラマに特化して世帯視聴率を安定的に得ているのである。

テレビ朝日本社=東京・六本木
テレビ朝日本社=東京・六本木
 こうしたドラマの再放送を3時間編成している午後帯も強い。例えば今年4~6月の午後2時台では、日テレ『情報ライブミヤネ屋』に次いで、同局のドラマ再放枠が2位につけている。その最大の要因は、「F3」(女性50歳以上)の個人視聴率で断トツの首位となっていることだ。昼の時間は接戦だが、『徹子の部屋』は民放の中で2位と好位置につけている。やはりF3でのトップが世帯視聴率を牽引している。

 さらに朝8時台のワイドショー枠でも、『羽鳥慎一モーニングショー』で民放トップを走っている。この番組も、F3と「M3」(男性50歳以上)が首位だ。 この作戦は、日本の人口が50歳以上で45%を占める時代に合致したものと言える。5系列ある民放に“老人チャンネル”が出来ることは、多様性の担保という意味で悪くないかもしれない。 

 しかも広告営業対策や59歳以下の獲得については、サッカーやフィギュアスケートなどスポーツの国際大会、GP帯のバラエティ、深夜のドラマなどで手は打っているということかも知れない。さらに10~20歳代については、テレ朝はAmebaTVに積極的に取り込んでいる。

 こうして考えると『やすらぎの郷』の編成は、テレ朝の編成戦略が旗幟(きし)鮮明になったターニングポイントだったのかもしれない。この戦略で、テレ朝がどこまで実績を伸ばすのか、注目したい。