2017年08月24日 14:06 公開

英内務省が、国内に住む欧州連合(EU)加盟国の市民に、英国を退去しなければ「拘束」すると警告する通知を約100通、「誤って」送っていたことが分かった。英国在住権をもつフィンランド人の歴史学者がこの通知を受け取ったのを機に、問題が明らかになった。

英国人と結婚しているエバ・ヨハンナ・ホルムベルグ博士には、英在住権がある。それだけに内務省からの通知に、1カ月以内に退去するよう書いてあるのを見て「目を疑った」と話す。

内務省は、英国内のEU市民の権利は「変わっていない」と説明。テリーザ・メイ首相は「残念なミスだった」と話した。

ロンドンのクイーンメアリー大学勤務のホルムベルグ博士は、内務省通知を受け取る前に、「有資格者証明」を申請していた。これは、欧州経済領域やスイス国民で、一定の基準に見合う人の英在住権を認定するもの。

博士は、この「馬鹿げたでたらめ」のせいで、ブレグジット(英国のEU離脱)以降の政治家をますます信頼できなくなったと話す。

「(通知を)開いた時、目を疑った。『あなたを英国から退去させるという決定が下された』など書かれていたので」

1カ月以内に国外退去しなければ、拘束するとも書かれていたという。

博士はそれから数日の間、弁護士や勤務先の大学に事情を説明し、内務省にも連絡をとろうとした。

23日になって内務省が直接、博士に謝罪した。通知を開いてから6日後のことだった。

ホルムベルク博士によると、自分に起きたことがフィンランドで報道されると、「ツイッターは大騒ぎになった」という。

「ツイッターやメールやフェイスブックで、大勢とやりとりした。全部のメッセージにはまで目を通せていないが、同じような経験をしたという人が複数いた」

クイーンメアリー大学のサイモン・ギャスケル学長は、海外から英国に来る研究者がどれほど「大きな貢献」をしているか、政府は十分に理解していると明示しなくてはならないと話した。

「ホルムベルグ博士とその家族に、このようなストレスは無用だった。ロンドン・クイーンメアリー大学の支援態勢が作動する必要など、あってはならなかった」

内務省は、通知を受けた全員に「無視しても構わないとはっきり説明するため」連絡したと話している。

「少数の手紙が間違って発行された。なぜこのようなことが起きたのか、急ぎ調べている」と報道官は説明した。

「英国にとって恥」

メイ首相は、内務省が「手紙を受け取った全員にただちに連絡をとり、強制送還されたりしないと念押しした」とBBCに話した。

「英国内にいるEU市民全員に、英国における権利と立場に変化はないと安心してもらいたい」

しかし、ブレグジット後に英国内のEU市民320万人がどうなるか懸念する人たちは、今回の事態にも憂慮の声を上げている。

EU支持団体「オープン・ブリテン」のジェイムズ・マグレゴリー代表は、「数年前に『帰れ』と書かれたみっともない政府広報車を繰り出したのと同じ役所が、今度まだ恥ずべき真似をした」と批判する。

「この国に暮らす権利が確実にある人たちに、強制送還を脅す手紙が届くなど、そのような話を耳にするEUの人たちが、将来的に英国で自分たちの地位はどうなるのか心配するのも無理もない」

ホルムベルグ博士が住む選挙区選出で野党・緑の党副党首のキャロライン・ルーカス氏は、「信じられない」出来事だと驚いている。

「このようなミスは、まったくあってはならない。政府はブレグジットを軽率に強硬することで、多くの人の生活をひっくり返してしまっている。自分たちの責任をもっと真剣に受け止めてもらわなくては」

野党・自由民主党の内政担当報道官エド・デイビー氏は、内務省の通知は「とんでもない」もので、「英国にとっての恥」だと非難した。

デイビー氏は、通知を受け取った全員にアンバー・ラッド内相が直接謝罪し、通知のせいでかかった法律相談などの費用を政府が補償すべきだと指摘した。

(英語記事 EU citizen detention letters sent in error