この災害を引き起こした小惑星の大きさは直径17メートルと推定されている。たった直径17メートル。宇宙規模からすれば大きめの岩石レベルといっても差し支えないだろう。同じ小惑星でも、例えば日本の小惑星探査機「はやぶさ」が探査に向かったイトカワは差し渡しが535メートル。キロメートルを超える小惑星は無数に存在する。
小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載して打ち上げられるH2Aロケット26号機=2013年12月3日、鹿児島県南種子町(甘利慈撮影)
小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載して打ち上げられるH2Aロケット26号機=2013年12月3日、鹿児島県南種子町(甘利慈撮影)
 チェリャビンスクに落ちた隕石(宇宙に存在したときは小惑星)であったこの天体が小さかったことは、私たちにとってせめてもの救いであった。もし、それがイトカワくらいのサイズであったら、あるいは恐竜を絶滅させるサイズの小惑星だったら…。人類の文明が崩壊してしまってもおかしくなかったのだ。その「かもしれない」は、決して大げさなことではない。

 そうはいっても、そんなに頻繁に小惑星が落ちてくることはないだろう、と多くの方は思われるであろう。確かに、毎日小惑星の地球衝突が起こるわけでもない。それに、落ちてくる場所はたいてい人里離れた辺鄙(へんぴ)な場所である。仮に落ちてきたとしても、人間に被害を及ぼすことはそうめったにないことであるということもまた確かである。

 例えば今から約100年前の1908年、シベリアの奥深くにあるツングースカという場所で大爆発が発生した。半径30キロの森林はなぎ倒され、炎上し、1000キロ離れたところの窓ガラスが割れる被害が出た。この「ツングースカ大爆発」は近年になって小惑星の衝突により引き起こされたものと断定されたが、死者は出なかった。あまりに辺鄙な場所に落下したため、人的被害がなくて済んだのである。

 このときも私たちは、「不幸中の幸い」という言葉が当てはまる状況で難を逃れたのだ。大都市を隕石が直撃するのはハリウッドの映画の中だけ、そう考えている人も多いのではないだろうか。

 ここで、興味深い試算結果を紹介しよう。米テュレーン大学のスティーブン・ネルソン教授がまとめた、小惑星の地球衝突で死ぬ確率の試算である。

 この試算では、人間の一生を80年とし、その間に小惑星や彗星(すいせい)などの落下によって死ぬ確率を160万分の1としている。同じ計算では、例えば交通事故で死ぬ確率は90分の1と極めて高く、洪水で死ぬ確率は2万7000分の1、飛行機事故で死ぬ確率は3万分の1と算出されている。確かにこう並べれば、小惑星衝突で死ぬ確率はそれほど高くないと思われるかもしれない。ちなみにこれより低い確率として、例えばボツリヌス菌による食中毒で死ぬ確率(300万分の1)やサメの攻撃により死ぬ確率(800万分の1)が挙げられている。