しかし、この計算にはもう1つの数字がある。いま私が挙げた「160万分の1」という数字は、「局地的な災害を引き起こすような小惑星・彗星などの衝突」により死ぬ確率なのだ。もしそれが、全世界的な災害を引き起こすような大規模衝突だったらどうなるだろうか。教授はその数値も計算している。その値は7万5千分の1。先ほどの航空機事故により死ぬ確率の数字などと比べてほしい。決して途方もない数値ではないのだ。

 もちろん、これらの数値の計算結果に異議を唱える人も多いだろう。基本的にこの数値はおそらく米国の数値を用いており、航空機の数が日本などに比べて段違いに多い(飛行機の数が多ければ確率も上がる)米国の数字をそのまま比較してもいいのだろうか、という疑問は湧くだろう。しかしそうだとしても、小惑星衝突、それも大規模な衝突で死ぬ確率が航空機事故の確率と大きく違わないという点に、私たちはもっと注意すべきだろう。

 チェリャビンスク、あるいはツングースカのような局地的な衝突では、落下地域一帯に大きな被害がもたらされる。それは先ほど述べたような衝撃波によるものや熱線・熱風、地震動、海に落ちた場合には津波などが考えられる。
2013年、ロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石の破片(佐々木正明撮影)
2013年、ロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石の破片(佐々木正明撮影)
 これらも恐ろしいが、実は大規模な小惑星衝突では、より恐ろしいことが起こる。衝突や火災によって舞い上げられたチリが地球全体を覆い、数十年にわたって太陽の光を遮ってしまうのだ。そうすれば植物は育たなくなり、農業が立ち行かなくなることはもちろん、植物が育たなくなり、生態系が崩壊する。人類を含め、地球上の生命は崩壊の瀬戸際に立たされることになるのだ。

 このグローバルな災害こそ小惑星衝突で、私たちが最も恐れるべき事態である。

 では、このような恐ろしい事態に対して、私たちが今すぐ打てる手はないのだろうか。正直に申し上げると、直接的に回避する手段はない。

 「直接的に回避する」とは、地球に衝突しそうな小惑星を何らかの方法で破壊したり、その軌道をそらしたりするということである。