例えば、核爆弾で小惑星を粉々にするというアイデアもある。しかし、その破片があらぬ方向へ飛んでいき、地球にぶつかってしまう可能性もある。

 また、「はやぶさ」の成果から見いだされた考え方もある。「はやぶさ」が探査したイトカワの比重は1・9と見積もられている。水の比重が1であり、平均的な岩石の比重は3・3~3・5程度である。どうみても岩石でできているイトカワの比重が1・9であるということは、内部に多くの隙間ができているということを意味している。このように隙間だらけの小惑星の内部で核爆弾を爆発させても、そのエネルギーの多くは隙間で吸収され、効果的に小惑星を破壊できない可能性が高いのだ。
惑星探査機「はやぶさ2」=2014年8月31日、神奈川県相模原市(大西史朗撮影)
惑星探査機「はやぶさ2」=2014年8月31日、神奈川県相模原市(大西史朗撮影)
 もちろん、そういった爆発物をどのようにして運び、また内部をどのようにして掘削するのかという点も考えなければならない。そうなれば、他にどんな方法があるのだろうか。実は、ある。

 例えば、小惑星に何らかの物体をぶつけて軌道をずらす方法だ。これは現在、欧州宇宙機関(ESA)が「ドン・キホーテ」と名づけて検討しているもので、2機の探査機で構成された1組の探査機が小惑星へ向かい、そのうち1機が小惑星に衝突、その衝撃で軌道を変えようというものである。

 一方、米国では、小規模な「ロケット」を使って小惑星の軌道を変えよう、という考え方がある。米国は現在、小惑星を総合的に探査する枠組み「小惑星イニシアチブ」を実施しているが、その中で計画されている小惑星サンプルリターン探査「アーム」では、サンプルリターン後に探査機がそのエンジンで小惑星を「押し」、軌道を変える実験を行う計画である。

 どちらにしても、何らかの力を人工的に加えて軌道を少しだけでも変えさえすれば、小惑星の地球衝突を避けることが可能である。

 しかし、いずれの計画も検討段階であり、しかもその進展はどうにも心もとない。ドン・キホーテについてはESAにおける進捗(しんちょく)はほとんど聞こえてこない。アーム計画は、トランプ政権発足に伴う米国の宇宙開発計画の変更が影響したのか、もはや風前のともしびとなっており、中止されたらしいとの情報も私のもとに入ってきている。