このような会議における地道な議論の積み重ねにより、最終的には小惑星の地球衝突に関する国レベル、あるいは世界レベルでの対応の方針が決定され、私たちが危機に対して冷静に対応できる。そのようなことを、私としては期待している。
 もう1つ重要なのは、この問題が重要である、という認識を多くの人に持ってもらうことである。PDCの目的の1つもその「認識をより広める」という点にある。会議が科学者だけでなく一般の人も参加できるようになっていたり、インターネットで中継されたり、会議終了後の土曜日には一般の人向けの特別イベントが設定されたりしていたのも、この問題がどれほど重要であるかということをより多くの人に知ってほしい、というメッセージなのである。

 確かに、私たちは日々の生活に忙しい。生活の中で危ないと思うことは、交通事故であったり、家の中での事故であったり、あるいは犯罪などといった身近なことであり、まさか空から降ってくる天体によって命を奪われるということまで思いをはせる人は、そう多くないだろう。

 しかし、ここまで本記事をお読みくださった方は、小惑星の地球衝突という事態は、決して絵空事でもなければ可能性が低いわけでもないということ、そしてそれが明日にも起こる可能性があるということを認識していただけただろう。チェリャビンスクでの災害を引き起こした小惑星は事前に見つかっていなかった。いまも私たちが見つけられていない小惑星が、地球に向けて進路を取る、あるいは何らかの影響で地球への進路をとってしまっているかもしれないのだ。

 そしてそれが、人類を「第ニの恐竜」と化してしまう可能性も、ゼロではない。私たちは、その危機を認識し、実際に小規模はあるが、それに立ち向かおうとしている。「今そこにある危機」に対して最も強力な対処法は、私たちがその危険を冷静に認識し、それを回避するために確実に動きを取ることである。

 人類は、恐竜が持たなかった科学技術という武器を手に、いますぐにこの戦いに立ち上がるべきである。なぜなら、この問題は「起きるか起こらないか」ではなく「いつ起きるか」という問題だからだ。