洪水の想定については、大河川の堤防やダムなどの整備の将来目標としては100-200年に1回程度の発生確率の洪水を対象としている。しかし、河川整備には長年月を要するため、向こう20-30年間の整備目標として、戦後実際に経験した洪水の規模を対象とするのが通常である。このように、洪水防御の施設整備では、津波対策のように発生し得る最大級の外力を想定するには至っていない。ただし、この5月に水防法が改正され、住民に提供されるハザードマップに、発生し得ると考えられる最大級の洪水を想定した浸水想定区域図を示そうということになった。

 地震の揺れ、津波、洪水などの自然外力については、このようにあらゆる危機を想定しようという考えが取り入れられはじめている。それでは、隕石の落下は想定しているだろうか。いや、いまだに想定されることはほとんどない。社会資本の整備・管理にあたって、隕石の落下をどのように取り扱うべきか考えてみたい。

 約6500年前に恐竜絶滅の原因になったとされる隕石落下のような事態を想定すべきであろうか。隕石の直径は10-15キロ程度であった。米航空宇宙局(NASA)によると、直径10キロ超の小惑星は1億年に1回程度の頻度で地球に衝突する。そして、その10分の1の直径1キロ超の小惑星になると100万年に1回の頻度とされている。この大きさの小惑星でも地球に衝突すれば文明を終わらせかねない。だが、直径1キロ以上の小惑星の95%以上は、既に調査が終えられており、それらの軌道から考えて地球に衝突する可能性は極めて低いとされている。

 直径1キロ以上の小惑星は、地球に衝突する確率が極めて小さいが、衝突が起きれば文明の存続も危うくなるほどの影響がある。引き続きこの規模の小惑星の調査に注力する必要があるが、わが国の社会資本整備で対応するのは困難と思われ、国内の防災対策を考えるうえで、とりあえず想定の外におくのもやむないであろう。

 それでは、直径1キロより小さい小惑星となるとどうであろうか。小さいサイズになるほど数多く存在するが、NASAなどが発見しているのはごく一部である。直径300メートルから1キロの大きさのものは40%、直径100-300メートルのものは5%以下、直径30-100メートルのものは1%以下しか発見されていない。