また、社会資本の整備・管理において、隕石落下が重大な影響を及ぼし得ると思われるケースにおいてはこれを外的要因として想定し、隕石落下時に人命や社会・経済に壊滅的な被害を及ぼさないよう、あるいは被害を少しでも軽減できるよう方策を検討する必要がある。特に、原子力発電所などの発電施設や水源施設は、被害を受けると深刻な事態になる場合がある。施設整備のハード面と警戒・避難といったソフト面の両面で対策を検討する必要がある。さらに、国民生活の生命線といえる基幹道路、電気・ガス・水道、下水道などのライフラインについては、リダンダンシー(冗長性)の観点から被災した場合の代替機能確保についてあらかじめ検討しておくことも重要だ。

 ここで注意したいのは、これまでは、最悪な事態を想定した議論をすると周辺住民から危険な施設とみなされ、反対運動が高まるため、議論を避けようとする傾向があったのではないだろうか。「絶対」の安全はないということを前提に、最悪の事態を想定することについて住民も冷静に議論を受け止める自覚を持ち、事業者側・施設管理者側は真摯(しんし)にあらゆる事態を想定して減災対策を論じるべきである。

 最近は、一部の地方自治体で北朝鮮からのミサイル着弾に備えた住民避難訓練が行われるようになった。着弾する前にミサイルを迎撃するハード面の対策も進める必要があるが、警戒・避難といったソフト面の対策を強化することも重要だ。
弾道ミサイル飛来を想定した避難訓練で、屋内で身をかがめる参加者=8月26日、津市
弾道ミサイル飛来を想定した避難訓練で、屋内で身をかがめる参加者=8月26日、津市
 隕石落下については、地震・水害・土砂災害などに比べて頻度が小さく、またミサイル着弾に比べても現実離れしているように思われがちだが、必ず地球に衝突してくるものである。巨大隕石の落下であれば手の打ちようもない事態も考えられるが、対応策を講じておくことで、被害を最小化できる可能性はある。国家が壊滅するような事態を阻止することができるかもしれない。日本で初めてPDCが開催されたのを機に、隕石落下に対する備えを積極的に検討する機運が高まることを願う。