予測ができれば対策も取れる。したがって、まず重要なことは地球に衝突する天体を発見し軌道を正確に推定することだ。地球に接近しうる天体を地球接近天体(NEO:Near Earth Object)と呼ぶが、NEOには小惑星と彗星がある。

 確率的には小惑星の地球衝突の方がはるかに高いので、プラネタリー・ディフェンスとしては、地球に接近する小惑星を探すことになる。実際、1997年くらいから地球接近小惑星の発見が急増した。

 これは、90年代に天体の地球衝突という問題が重要であるということが認識され、観測技術も向上したことによって積極的にNEOの観測が行われるようになったためである。現時点(2017年5月)で、発見されているNEOの数は1万6千個を超えている。この数は今後もますます増えることであろう。

 幸いなことに現在発見されている1万6千個余りのNEOが近い将来に地球に衝突する可能性はない。しかし、問題なのはまだまだ未発見のNEOが非常に多いということである。現在、NASAが主導するかたちで米国のいくつかのプロジェクトが中心となりNEOの観測が進められている。

 最近では欧州宇宙機関(ESA)もプラネタリー・ディフェンスに力を入れだした。日本では、岡山県に美星スペースガードセンターという施設がありNEOの観測を行っている。ただし、日本を含めアジア地域ではNEOの観測は低調である。米国・欧州・アジアと3つの地域で観測が行われるのが好ましいので、日本もNEO観測にさらに力を入れるべきであろう。

 このようにNEOを探す活動はすでに20年前から始まっている。では、もし地球に衝突する天体が発見されたらどうするのか。もちろん地球衝突回避をしたいわけであるが、実はこれが難しい。

 よくある映画のシーンのように、地球に衝突してくる天体に宇宙飛行士が行って爆弾をしかけて爆破するーこれは映画的には面白いが、現実的ではない。その理由は、仮に天体を爆破したとしても、その破片が地球に衝突してくるので、結局、広範囲にわたって被害が生じてしまうためである。

 では、どうするか。最も良いのは、地球に衝突してくる天体の軌道をそらすことである。軌道をそらすには、現在の技術では、例えば無人宇宙船をその天体に衝突させればよい。米国はすでに彗星に探査機を衝突させる実験を行っている。
※画像はイメージ
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 日本も、「はやぶさ」や「はやぶさ2」のように小惑星に探査機を送ることができる。ただし、打ち上げることができる探査機や宇宙船は小惑星に比べればはるかに小さい。小惑星に衝突させてもその影響はわずかである。

 例えば、大きさが100メートルくらいの小惑星でかつ地球衝突までに十分な時間的猶予(例えば10年程度以上)があれば、宇宙船を衝突させることで小惑星の軌道を微妙にずらし、そのずれが時間の経過とともに拡大して最終的に地球に衝突しないで通り過ぎる、ということは可能なのである。

 しかし、相手の天体が大きかったり、衝突までの時間的猶予がなかったりすると、このやり方では衝突回避はできない。小惑星の軌道を変える方法としては、この他にもいくつか提案されてはいるが、あまり現実的ではない。