その中で、特に議論に挙がるのが核爆発を使うものである。これも、小惑星を破壊するのではなく、小惑星の近くで核爆発を起こすことで、小惑星の軌道を変化させようとするものである。エネルギー的には核を使う必要があるが、本当にうまくいくかは分からないし、核廃絶という動きに逆行することにもなるので、慎重な議論が必要である。

 このほか、例えば衝突回避に失敗して別の国に天体が衝突してしまったらどうするかとか、特に大都市に天体が衝突する場合など人々の避難をどうするか、衝突回避のための費用は誰が出すのか、経済的な打撃にどう対応するのか等々、難しい問題がいろいろある。このような問題についてもPDCでは議論されているのである。

 以上のように、まず地球に接近し得る天体を観測するというところについてはどんどん進めればよく、実際に観測が進められているのであるが、天体の地球衝突回避や被害への対応については、いろいろ難しい問題が山積しているのである。
※画像はイメージ
※画像はイメージ
 このような問題については、国際的な協力が必要であり、2000年前後からは国連の機関でも議論が始まり、13年には、プラネタリー・ディフェンスに関連してIAWNとSMPAGという2つの国際的なグループが組織された。

 IAWNは「International Asteroid Warning Network」というもので、地球に接近する天体を積極的に観測していこうという目的で設立されたものである。一方、SMPAGSは「Space Mission Planning Advisory Group」で、天体の地球衝突回避を目的としたグループである。IAWNの方はNEOの観測を行っている天文台や研究チームがメンバーとなっており、SMPAGの方は各国の宇宙機関がメンバーである。

 流れ星や小さな隕石のように、小さな天体は常に地球に衝突しているわけであるが、大きな被害を伴うような天体の衝突頻度は小さい。頻度は小さいけれども起こると大きな災害となる。

 そのような「低頻度巨大災害」にどのように対応するのがよいのかは難しい課題であるが、天体の地球衝突問題については、まずは地球に接近しうる天体であるNEOを発見すればよい。今、NEOの観測をしておくことは、「人類としての危機管理」でもあるし、将来の人類への贈りものともなる。