北朝鮮の核ミサイルが日本のミサイル防衛網を突破し、日本列島で爆発した時、我々がとるべき行動とは何か。元自衛官で『ミサイルの科学』の著者・かのよしのり氏が核爆発から生き残るための方法を伝える。

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 核ミサイルが飛んできた時、個人ができることは政府が提供するJアラート(全国瞬時警報システム)が作動してからの数分間と爆発後の行動で、最善を尽くすことだけだ。そこで適切な行動を取れるかどうかで、生存率には雲泥の差が出る。
北朝鮮のミサイル発射で作動した全国瞬時警報システム(Jアラート)の画面=8月29日、東京都千代田区の産經新聞東京本社
北朝鮮のミサイル発射で作動した全国瞬時警報システム(Jアラート)の画面=8月29日、東京都千代田区の産經新聞東京本社
 そもそも核ミサイルの被害は、爆弾の爆発力と爆心地からの距離によって大きく違う。たとえば、外務省がまとめた「核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究」(平成25年)によれば、広島に落ちた16KT級(TNT火薬相当)原爆に近い20KT級の空中爆発(都市の数百m上空での爆発)では、1km以内の建物はほぼ全壊、インフラもほぼ壊滅状態で、車両もほぼすべて走行不能になると想定されている。

 核爆弾が爆発すると、巨大な火の玉(火球)ができる。このとき熱線と爆風、放射線が放出される。

ピカッと光った瞬間、光と同時にやってくるのが熱線だ。20KT級の核爆弾なら熱線は約1.5秒持続する。爆心地から数百m以内なら瞬時に蒸発し即死、1.5km程度までが黒焦げとなり約6~8割が死亡する。2km程度までは火膨れ(ひどい火傷)、2.8km程度までは日焼けのように肌が赤くなる。広島では3.5km離れていても素肌は火傷になった。熱線は、光った後では逃げられるものではないから、爆心地から近ければ諦めるしかない。ただし、運よく物陰などにいた場合は、爆心地から近くても助かることがある。

 熱線の後、風速数百m/sの爆風がおおよそ10秒後までに吹く。都市の場合、爆風によって破壊されたガラス片が、爆心地から1km以内なら弾丸と同じスピードで飛んできて人を殺傷する。その場の状況によってガラス片から体を防御することが必要だ。