弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、早期警戒衛星が弾道ミサイルの発射を探知すると、地上レーダーや海上のイージス艦などが得た情報とを総合して、コンピューターが自動的にミサイル軌道を計算する。
北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、陸上自衛隊出雲駐屯地に配備されたPAC3=8月12日、島根県出雲市(門井聡撮影)
北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、陸上自衛隊出雲駐屯地に配備されたPAC3=8月12日、島根県出雲市(門井聡撮影)
 弾道ミサイルの飛翔経路は、発射後に上昇する「ブースト段階」、大気圏外に出て弾道飛行する「ミッドコース段階」、大気圏再突入後に着弾するまでの「ターミナル段階」の3つに区分される。日本のBMDシステムは、ミッドコース段階で海上自衛隊のイージス艦に搭載したSM3が、高度100km以上の大気圏外で迎撃する「高層迎撃」と、それを撃ち漏らした場合に「ターミナル段階」において、航空自衛隊のPAC3が上空15km付近に飛来した時点で迎え撃つ「低層迎撃」の2段構えとなっている。

 米韓軍の情報によれば、北朝鮮は日本を射程に収める「ノドン」を200~300基、韓国向けの「スカッド」を600基(このうち日本攻撃が可能なスカッドERは多くて100基と推定)、北朝鮮は保有している。これらのミサイルを一度に発射する「飽和攻撃」に対処できるのかという議論があるが、その際重要になるのは発射機の台数であり、米韓軍によればノドン用は40台、スカッド用は50台という(スカッドER用は不明)。

 日本向けの発射機は最大50台と推測される。常時使用可能なのは保有数の3分の1という原則(残り3分の2は予備と整備)に従えば、常時使用可能な発射機は15台ほどとなる。

海上自衛隊のイージス艦1隻が「SM3で同時に迎撃可能なのは2基」という“神話”が横行しているが、実際に操作可能なミサイル数は軍事機密であり、公表されていない。

 そうしたSM3を搭載した日米両軍のイージス艦は、日本海に常時数隻遊弋(ゆうよく)しており、現在の北朝鮮の能力による「飽和攻撃」に対しては、ほぼ全てを撃ち落とすことができると考えられるが、撃ち漏らしたノドンが着弾する可能性は否定できない。