また、日本政府は、日本が衛星を打ちあげる際、たとえ北朝鮮の上空を通過しない場合でも通告することによって、北朝鮮にも同様の通告を促すべきではないか。6月はじめに日本が測位衛星を打ちあげた際、北朝鮮外務省は「日本は、われわれが何を打ちあげようと、そしてそれが日本の領空を通過しようと、何も批判できなくなった」と主張したそうだ。そんな口実を許すようであってはならない。

 最後に、地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」の問題である。今回のミサイル発射を受けて、導入の必要性に向けた議論が加速されるだろう。しかし、「ちょっと待て」と言いたい。

 冒頭に書いたように、今回のミサイル発射は、多弾頭化の実験だった可能性がある。今回がそうでなくても、ミサイルを効果的なものにしようとすれば、どの国であれ多弾頭化に行き着くことは当然である。ところが、イージス・アショアは、多弾頭のミサイルに対しては無力なのである。
2017年5月に行われた北朝鮮の中距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験(朝鮮通信=共同)
2017年5月に行われた北朝鮮の中距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験(朝鮮通信=共同)
 北朝鮮の核ミサイル問題は外交努力抜きに解決できないのは明白だ。ただ、一方で「どうせ撃ち落とせないのだから外交を」という立場では、外交努力を強める方向に単純には働かないように思う。撃ち落とせないことが前提になってしまうと、「じゃあミサイル基地をたたくべきだ」という世論に向かうことと背中合わせになるからである。

 いま大事なことは、多弾頭化によって、このままでは日本の迎撃システムは役に立たないと自覚することである。そして、迎撃システムを開発している米国に対して、多弾頭化に対応したシステムの開発を強く求め、「対応すれば購入する」という立場を貫くことではないか。米本土と異なり、日本はミサイル被害の「当事者」になり得るだけに、役に立たないものは買えないと明確に主張するのは、あまりにも当然の対応ではないだろうか。