2017年09月04日 12:25 公開

北朝鮮は6回目の核実験を「完全な成功」と自賛した。観測された揺れの形はこれまでで最大規模の爆発だったと示しているが、直後に実験場のトンネルが崩落した様子で、これは北朝鮮の核開発の進捗状況を知る貴重な手がかりとなるかもしれない。ミドルベリー国際大学院モントレー校核拡散防止研究所の研究者、キャサリン・ディル氏が解説する。


米国と中国による観測は、北朝鮮の実験による揺れがマグニチュード(M)6.3の規模だったと示している。このためすでに、北朝鮮による核実験としては過去最大のものだということは分かっている。

このマグニチュードはざっと言えば、熱核兵器が放出するエネルギー量範囲の下限に近い。つまり第2世代の核兵器で、一つの爆弾が次の爆弾を起爆させより大きい爆発を作り出すという2段階方式のものだ。

どのような設計の核兵器を使った実験かはまだ明らかではないが、揺れの特徴からして、今回の実験の出力は以前の実験による規模より対数的に大きい。

今回の実験の規模は100~150キロトン級だという試算もある。比較対象とするなら、広島に投下された原爆は、約15キロトンだった。北朝鮮による2016年9月の前回実験は、10~30キロトンだったと推定されている。

こうした試算ができるのは、実験に使われた核兵器の出力、つまり爆弾の威力を、揺れの規模から計算する数式が作られているからだ。

しかし爆弾の破壊力を知るには、実験場の地理条件やトンネルの深さも関係する。そのすべての情報は得られていないそれだけに、実験の出力情報はいずれも予備的なものに過ぎないのだ。

ならば今回の実験からほかに何が分かるのだろう。実験場でどうやらトンネルが崩落したらしいという情報が、ここで非常に役立つかもしれない。

そのほかには、核実験によって大気中にされる放射性核種の構成を観測するという方法もある。過去の実験では、実験に使われたトンネルはしっかり密閉されていたため、こうした物質の放出はなく、ここ数年は分析できるものがあまり得られなかった。

しかし今回の爆発は規模が大きく、実験場のトンネルが一部崩落したらしい。米地質調査所(USGS)は、実験から約8分後に2度目の揺れを観測している。USGSも中国地震局も、この2度目の揺れはトンネルの崩落によるものだろうと分析している。

なぜトンネルが崩れたのか? 今回ほどの大爆発に耐えられるほど堅牢に作っていなかった可能性がある。あるいは、わざと崩落させたのかもしれない。つまり放射性核種をわざと放出させることで、これは本物の核実験だったのだと世界に知らしめるために。そうだとすると、これは深刻で本格的な前進を意味するが、判断するにはまだ時期尚早だ。

しかし実験場の山の下で何が起きたのか判断するため、爆発分析の手がかりとなる情報が、トンネル崩落によっておそらく得られるだろう。包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の観測所が放射性核種を観測し、情報を分析するには、数週間、あるいは数カ月かかる。

そうして得られた情報から、核弾頭の構成が判明するかもしれない。つまりどういう種類の核分裂物質がどれくらい使われていたのか。プルトニウムなのか、高濃縮ウランなのか。北朝鮮はどちらも製造しているし、両方を使う能力をもつ。

揺れの特徴だけから、北朝鮮の6回目の核実験が熱核兵器だったと断定することはできない。しかし現時点で、それはあり得る可能性のようだ。

この進展の度合いは意外ではないが、これほど大規模な実験だったことは、現状がいかに深刻なものか、あからさまに裏付ける。韓国政府の専門家たちは、今回の実験はこれまでの5~6倍の威力だったと指摘している。

では北朝鮮にとって、次の一手はなにか。これから何がどうできるのか。それは米国の反応によるという部分もある。

今回実験したばかりの核弾頭を実際に大陸間弾道ミサイル(ICBM)に載せて飛ばすことができるのだと、実際に証明してみせなくてはと北朝鮮が考えたりしないか、そう心配するアナリストたちもいる。実弾発射実験や、あるいは大気圏内核実験さえ、やろうとするのではないかとも。初期の核兵器は、部分的核実験禁止条約で禁止されるまで、大気圏内で実験されていたのだ。これは実験という枠内での、最も挑発的な行為となる。

今回の核実験のタイミングに、政治的な意味があったのかどうかは断定できない。米韓軍事合同演習は終わったばかりだ。北朝鮮は年内の実験を以前から示唆していたし、具体的なタイミングは政治的というよりは技術的な理由によるものかもしれない。

実験から有意義な技術的情報を入手し、将来的に確実にうまく機能すると自信が持てるよう、核弾頭に調整を重ねていくのは間違いない。

事件後の公式発表で北朝鮮政府は、最高指導者の金正恩氏が前日に視察した2段階式水素(熱核)爆弾の実験が完全に成功したと主張した。

実験に使われた装置が正確にどのようなものなのか、慎重な専門家は今後も議論を続けるはずだ。それでも、北朝鮮には核兵器開発計画などないと主張し続けるのは、もはや難しい。

(英語記事 North Korea nuclear test: 'Tunnel collapse' may provide clues