7月28日、日本時間の午後11時42分頃、北朝鮮の内陸部・舞坪里(ムピョンリ)から弾道ミサイルが発射された。このミサイルは、約45分間飛行して、北海道・奥尻島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定されている。朝鮮中央通信によると、高度は3724.9km、水平距離は998kmで、過去最高の高度と飛行時間を記録。7月4日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星14号』の改良版ではないかといわれている。金正恩朝鮮労働党委員長は「米本土全域がわれわれの射程圏内にあるということがはっきりと立証された」と誇らしげだったという。

 北朝鮮はなぜここまで、“アメリカ本土に届くミサイル”にこだわるのだろうか。
 オバマ時代の対北朝鮮政策は「戦略的忍耐」と呼ばれ、「北朝鮮が非核化に向けた措置を取らない限り、対話に一切応じない」というものだったが、北朝鮮はそれを無視し、オバマ時代に4回も核実験を行い、核兵器の性能を大幅に向上させてきた。だが今年1月、トランプ大統領政権に変わったことで、事態は大きく変化する。

 金沢工業大学虎ノ門大学院教授で、34年間、海上自衛隊の海将などを務めてきた伊藤俊幸さんが、こう解説する。

「トランプ政権が北朝鮮に対して出した対話の条件は、“核の完全放棄”です。さらに、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す挑発行為をエスカレートさせた場合、あらゆる措置をとると厳しく警告。軍事行動が含まれることも示唆しています」

 実際にアメリカは、北朝鮮への影響力が強い中国に対し、北朝鮮への圧力強化を指示している。しかし、中国はそれに応える結果をなかなか出さない。そんな中国に対してアメリカは、米中の銀行取引を禁じるなど、この6月から経済制裁をかけ始めている。

「そうした中、北朝鮮は、“自分たちにも核ミサイルをアメリカまで飛ばす軍事力があるとわかれば、アメリカは自分たちと対等に話をするはず”と考え、そのアピールのために、頻繁にミサイルを飛ばしているのです。言うなれば、北朝鮮が欲しいのは“核”による抑止力です。これがあれば、アメリカをはじめとするロシアや中国などの大国と対等になれると思い込んでいるのです。しかし、北朝鮮の核保有に、アメリカは強く強く反対しています」(伊藤さん)

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