2017年09月08日 11:46 公開

超大型ハリケーン「イルマ」に直撃されたカリブ海の英領バージン諸島は7日、非常事態を宣言した。ハイチや英領タークス・カイコス諸島も「イルマ」に備えているが、海抜の低いタークス・カイコスは、高波にのみこまれる恐れがあり、住民の避難が始まっている。ハイチは2010年の壊滅的な地震に破壊されたインフラが十分に整備できていない状態なだけに、深刻な被害が懸念されている。

「イルマ」はハリケーンの分類として最大規模の「カテゴリー5」で、最大風速約81メートルに達している。カリブ海地域でこれまでに少なくとも14人が死亡しており、さらに被害は増えると懸念されている。国際赤十字は、すでに推定約120万人が被害を受けており、その数は今後2600万人に急増する恐れがあるという。

赤十字は、飲料水の供給が途絶え、衛生設備も機能しなくなった地域で、伝染病が急速に広まる恐れを懸念している。

英領バージン諸島のガス・ジャスパート総督は、「イルマ」直撃による死傷者の報告を受けており、英国に支援を要請したと明らかにした。

総督は音声メッセージで、「ハリケーン・イルマの壊滅的打撃の規模を経験し、目の当たりにした今、沈鬱な思いでいます。首相との協議を経て、この領域に非常事態を宣言します。ラジオその他の通信手段も、非常にわずかにしか使えません。そのため、何らかの形でこのメッセージが大勢に届くよう、発信しています。受け取った方は可能な限りあらゆる手段で、この内容を広めてください」と表明した。

アラン・ダンカン英外務副大臣は、英領バージン諸島が「大々的な人道支援」を必要とするほか、英領アングイラも「イルマ」に直撃されたと述べた。地元当局によると、アングイラでは少なくとも1人の死亡が確認された。

副大臣によると、「イルマ」は英領モントセラトを「かすめた」ものの、ここの被害は当初予想ほどは大きくなかたっという。

英海軍の補助揚陸艦マウンツベイがカリブ海域にいるが、海軍はヘリコプター揚陸艦オーシャンも派遣した。ただし、オーシャンの到着には2週間かかる。

英政府は、「イルマ」被害を受けた海外英領に対する支援金の枠を、1200万ポンド(約17億円)から3200万ポンド(約45億円)に拡大した。

テリーザ・メイ英首相は、支援金増額を発表すると共に、政府が今回の災害に「迅速に」対応したと主張。マイケル・ファロン国防相も、政府は被災者に対して可能な限り最大限の支援を提供していると述べた。

プリティ・パーテル国際開発担当相は、「複数の世界的な人道支援の専門家」や避難所設営セット200個を、被災地に送ったと説明した。

一方で、野党・労働党のバレリー・エイモス女男爵(貴族院議員)は、英政府の対応は後手後手に回っていると批判した。エイモス議員はかつて、国連の人道問題担当事務次長と緊急援助調整官を兼務していた。

イルマはこの先どこへ

「イルマ」はドミニカ共和国を通過し、ハイチに接近中。現地時間7日夜には、タークス・カイコス諸島を直撃する見通し。

さらにその次にはキューバに到達し、週末には米フロリダ州に上陸すると予測されている。米連邦緊急事態管理庁(FEMA)のブロック・ロング長官は、「本当に壊滅的な」被害が予想されると述べている。

英仏蘭はそれぞれ、被災した領土に艦艇や救援チーム、支援物資などを送っているが、現地の空港や港が破損しているため、支援の現地到達が滞っている。

米国立ハリケーンセンターによると、大西洋上ではプエルトリコの東南東の洋上で、熱帯性暴風雨だった「ホセ」がすでに「カテゴリー3」のハリケーンとなった。進路はまだ不明だが、すでに「イルマ」被害を受けた地域が再び、風雨にさらされる恐れもある。

さらに、メキシコ湾上の暴風雨「カティア」もハリケーンになり、メキシコ・ベラクルス州に警報が出た。

(英語記事 Hurricane Irma bears down on Turks and Caicos islands/Hurricane Irma: UK territory declares state of emergency