2017年09月08日 15:43 公開

米アマゾン・ドット・コムは7日、北米で第2の本社の建設を計画していると発表した。多額の投資による経済効果を狙う各地が、発表直後から誘致合戦を始めている。

カナダのトロント市、米国のテキサス、メリーランド両州、シカゴ市などが誘致に手を挙げた。

第2本社では最大約5万人が働く予定で、15~17年間で50億ドル(約5400億円)が投じられる見通し。専門家たちは、新たな本社機能に関連した投資案件としては米国で過去に例を見ない規模だと指摘している。

似た事例として、ゼネラル・エレクトリック(GE)がボストンの新本社に800人を移動させる計画がある。

米国の非営利団体、国際経済開発委員会(IEDC)のクレイグ・リチャード副会長は、アマゾンの新本社計画について「非常に珍しい」と話す。「このような事はあまりないので、話が持ち上がれば(中略)経済開発関係者は飛びつく」。

アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEC)は、新本社はワシントン州シアトルにある現在の本社と「完全に同等」になると語った。

ベゾス氏は、「アマゾン第2本社では、数十億ドルの初期投資と継続投資や、高給が得られる数万の雇用がもたらされる」とし、「第2の拠点を見つけることに興奮している」と述べた。

アマゾンは人口100万人以上の都市が候補地になるとしている。主要な高速道路や国際空港に近い公共交通へのアクセスが必要だという。

テキサス州オースティンやダラス、マサチューセッツ州ボストン、コロラド州デンバー、アリゾナ州フィーニックス、カナダのトロントが有力候補地とされている。オースティンはアマゾンが最近買収した高級スーパー、ホールフーズの本拠地。

アナリストらは、第2本社の建設はアマゾンの急成長や、物流から小売、メディア、クラウドサービスまで多岐にわたる事業内容を物語っていると指摘した。

企業が本社地の選定作業を公にするのは異例だ。

しかしアマゾンは長らく、事業の拡大に政府の支援を活用してきた。非営利団体「グッド・ジョブス・ファースト」の調査によると、同社は米国で、自社倉庫網に関連して2015年1月から2016年12月にかけ2億4000万ドル以上の助成金を受け取っている。

「より良い条件」

グッド・ジョブス・ファーストのグレッグ・リロイ理事長は、候補地の選定を公表するのはよいよい提案を受けるための交渉戦術だと指摘する。

「アマゾンはどこに行きたいのかすでに分かっているかもしれないが、そうだとしても、第一希望の場所からより良い条件を得るため入札させることができる」

アマゾンは候補地を米国内に限っていない。これには、政治的なメッセージも意図されているかもしれないとアナリストらは話す。

ベゾス氏は、ドナルド・トランプ米大統領の気候変動や移民に関する政策に反対を表明した企業経営者の一人だ。

不動産会社ニューマン・ナイト・フランクのカナダ支社に勤務し、企業の移転に関わった経験があるグレッグ・ワスマンドーフ専務は、「米国企業は米国内に新たな拠点を考えていると言うのが普通だ」と指摘した上で、「北米での選択肢を検討している、と言うのには多少の意図があるはずだ」と語った。

アマゾンは、候補地からの経済的な奨励策を含めた誘致案の提出期限を10月19日に設定。場所は来年決定するとしている。

トロントのジョン・トーリー市長はツイッターで、同市が「最高の候補」だとアピールした。

ほかの候補地の関係者たちは、奨励策をめぐって激しい競争が予想されることにはひるんでいないと話す。

メリーランド州商務省の企業・産業部門開発部を率いるスティーブ・ペニングトン氏は、「額が大きいのは分かっているが、勝ち取るために果敢に攻める」と述べた。「どこも皆、非常に激しく競争するだろう」。

(英語記事 Amazon kicks off competition for new HQ