『新版 北朝鮮入門』(東洋経済新報社、2017年1月)に収録した過去の核実験に関する表を補完するため、第1回から今回までの核実験についてまとめた。本稿では各回について北朝鮮側がどのように発表したかも付記したので、上記のような金正日時代と金正恩時代の違いを読み取ることができる。北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける動機や北朝鮮の現状、正当な手続きを踏んでいると強調する金正恩氏のスタイルなどについては同書を参照していただきたい。(北朝鮮の核・ミサイル開発については同書第9章「核ミサイルの照準はどこか」、金正恩政権の手続き重視については同書第6章「体制が揺るがない理由」の小項目「金日成・金正日主義の登場」など)
北朝鮮の平安北道新義州市にある楽元機械連合企業所を視察する金正日総書記=2005年2月15日(朝鮮通信=共同)
北朝鮮の平安北道新義州市にある楽元機械連合企業所を視察する金正日総書記=2005年2月15日(朝鮮通信=共同)
 地震波の規模はCTBTOの発表値、爆発規模は防衛省の推定である。なお、核実験によって引き起こされる地震の規模を示すマグニチュードの計算式は各国で微妙に異なるため、日本や韓国、中国、米国の発表は食い違うことが多い。

第1回核実験

日時:2006年10月9日
地震波規模(マグニチュード):4.1
推定爆発規模:0.5~1キロトン
直前の情勢:7月5日にテポドン2発射。安保理は15日に非難決議。
事前の予告:北朝鮮外務省が10月3日に声明「安全性が保証された核実験を行う」
中国への事前通報:20分前
他国への事前通報:なし

実施後の北朝鮮発表:朝鮮労働党創建記念日(10月10日)前日に実施された。翌日の『労働新聞』は3面に核実験実施を伝える記事を掲載したが、見出しに「核実験」という言葉はなく、単に「朝鮮中央通信社報道」というだけ。内容も、核実験の成功を簡潔に伝えるだけの250字に満たない短い記事だった。1面トップには党創建記念日を祝う社説が大きく掲げられ、下段には金日成主席や金正日国防委員長の翌年の誕生日を祝う準備委員会がスリランカで結成されたという記事などが掲載された。

実験のポイント:初めての核実験。それまで強硬姿勢を取っていた米ブッシュ政権が、核実験を契機に対話に前向きな姿勢を見せるようになった。北朝鮮にとっては瀬戸際政策の典型的な成功例だったといえる。